横浜市営地下鉄の運賃が高い理由とは何か。ブルーライン・グリーンラインともに距離に対しては他の鉄道事業者と比べて割高な料金になっている。
初乗り運賃は210円となっている。長距離の料金は比較的安く抑えられているものの、近距離移動だと高いのが特徴といえる。
なぜこのように近距離向けの運賃は高めに設定されてるのか。そんな疑問を感じている人は多いのではないか。
経営状況があまり良くないから
横浜市営地下鉄の運賃が高く設定されていて、沿線の利用者が願っている値下げにも踏み切れない理由として、横浜市交通局の経営状況があまり良くない点が注目するべき点といえる。
経常利益が黒字に転じたのは2009年からである。2008年までは横浜市営地下鉄は赤字だった。
最初に開業したブルーラインが運行開始したのは1972年ということで、すでにおよそ50年が経過している。
しかし、地下鉄という鉄道の性質から地下に長いトンネルを掘る工事が必要だったということで、建設費に莫大なコストがかかった。
特に2番目の路線であるグリーンラインは2008年の開業ということで、今と変わらない物価で建設された。
用地取得や建設の工事にかかった分の借金の返済が重くのしかかっていることから、横浜市営地下鉄の経営状況が良くない要因となっている。
東京メトロ・都営地下鉄が安い理由
経営状況 | 利用者層 | |
横浜市営地下鉄 | 若干黒字 | 沿線の住民が中心 |
東京メトロ | 大幅な黒字 | 不特定多数 |
都営地下鉄 | 黒字 | 不特定多数 |
東京メトロや都営地下鉄も建設の際にかかった費用は莫大という点では同じである。しかし、これら2社局は東京都心を走ることから利用者もかなりの数になり、運賃収入も大きい。
大きな利益を上げられる性質があるため、運賃が他の都市の地下鉄と比べて安く抑えられている。
一方の横浜市営地下鉄は、利用者層が沿線の住民が中心となっている。主要な幹線はJRや私鉄(東急・相鉄など)が支配している構図になっている。
朝夕は通勤ラッシュで混雑するのは確か。でも、日中は完全に供給過剰となっている。
利用者の総数が東京メトロや都営地下鉄とは大きくかけ離れていることも、運賃を値下げできずに高止まりしている理由と判断できる。
延伸計画もあるから
横浜市営地下鉄ではブルーライン・グリーンラインともに延伸計画が存在する。特に横浜市とその周辺の地域は人口に対して鉄道網が充実していないところも多い。
ブルーラインでは、今の終着駅であるあざみ野から小田急線の新百合ヶ丘駅まで延伸させる計画がある。横浜市内は南北に縦貫する鉄道網が少なく、開通すれば需要が大きいという見方が強い。
グリーンラインは両端において延伸計画がある。日吉駅からは鶴見駅辺りまで延ばす計画が、中山駅からは二俣川駅まで延ばす計画がそれぞれある。
横浜市営地下鉄で延伸計画を実現させるには、そのための基礎的な財源を確保しなければならない。
交通局の収益源は旅客収入、すなわち地下鉄・バスの運賃である。これを安くしてしまうと財源が減ってしまう。
乗客が増える見込みで今後増収が予想される中でも、今のような高い運賃を維持せざるを得ない状況となっている。
他の運賃が高い鉄道会社および路線の事情
地域 | 鉄道事業者 |
神奈川県 | 京急、横浜高速鉄道みなとみらい線 |
その他首都圏 | 北総鉄道、東葉高速鉄道、つくばエクスプレス、埼玉高速鉄道、都営地下鉄、東京メトロ(初乗り)、京成、東武、東京モノレール、東京臨海高速鉄道、ゆりかもめ |