東海道・山陽新幹線の「のぞみ」と「ひかり」のそれぞれの違いを分析してみた。種別の名前だけでなく、停車駅・指定席特急券の値段・本数・自由席の車両数が2つで異なる。
のぞみとは、東京~博多間において最速達の種別である。大都市の主要駅にのみ停車する。ひかりとは、東京~岡山の区間運転がメインで準速達型の種別である。
のぞみが通過する中規模の都市にも停車する。東北新幹線に例えると、のぞみ=はやぶさ、ひかり=やまびこに該当する。
のぞみ号vsひかり号、それぞれの違い
違いのポイント | のぞみ | ひかり |
停車駅 | 大都市駅のみ | 大都市+中規模都市駅 |
本数 | 毎時4~8本 | 毎時2~3本 |
運賃 | 割増料金あり | 通常料金 |
自由席の車両数 | 3両分 | 5両分 |
東海道・山陽新幹線ののぞみ号とひかり号の違いは、上の4つである。
東京・名古屋・大阪・岡山・広島・福岡の大都市を行き来するための種別が「のぞみ」の役割である。
それに対して、のぞみ号が通過する中規模都市の駅を結ぶのが「ひかり」の役割であると言える。
メリットとデメリットで言うと、のぞみ号は停車駅が非常に少ないため所要時間が短い点、本数が多い点が長所と判断できる。一方のひかり号は、指定席特急券の料金が安くて自由席の車両数が多い点が長所に当たる。
停車駅の違い
主な駅 | のぞみ | ひかり |
品川 | すべて停車 | すべて停車 |
新横浜 | すべて停車 | すべて停車 |
小田原 | (通過) | 一部停車 |
三島 | (通過) | 一部停車 |
静岡 | (通過) | 一部停車 |
浜松 | (通過) | 一部停車 |
豊橋 | (通過) | 一部停車 |
名古屋 | すべて停車 | すべて停車 |
岐阜羽島 | (通過) | 一部停車 |
米原 | (通過) | 一部停車 |
京都 | すべて停車 | すべて停車 |
新大阪 | すべて停車 | すべて停車 |
新神戸 | すべて停車 | すべて停車 |
姫路 | 一部停車 | 一部停車 |
岡山 | すべて停車 | すべて停車 |
ひかりは「のぞみ+2~5駅」追加停車
東海道新幹線の区間にあたる東京~新大阪の場合、ひかり号はのぞみ号に加えて2~5駅停車する。
具体的には、小田原・三島・静岡・浜松・岐阜羽島・米原のうちのどれかに停車する。
日中の時間帯の場合、岡山駅発着のひかり号は静岡駅と浜松駅に停車する。新大阪駅発着は岐阜羽島駅と米原駅に停車する。
朝夕には小田原・三島・豊橋のいずれかにも追加停車する。
混雑度の違い
混み具合を見ると、圧倒的ののぞみ号の方がすべての座席で乗車率が高い。東京・名古屋・新大阪の乗降客数が多いが、大都市間を行き来する人が圧倒的に多いことが理由と言える。
ひかり号でも大都市間の移動のために乗る人はゼロではない。しかし、所要時間がのぞみ号の方が早いため、ひかり号に乗るのは中規模都市の駅を乗り降りする人が中心である。
平日でも土日祝でも混雑度はのぞみが高く、ひかりが低いという構図になっている。
<東海道山陽新幹線の混み具合>
本数が違う
東海道新幹線の区間では1日を通してひかり号が運転されているが、本数は圧倒的にのぞみが多くて、ひかりが少ない。
<昼間の1時間当たりの本数>
- のぞみ:毎時4~6本
- ひかり:毎時2本
のぞみは平日でも土日祝日でも1時間当たり4本以上は必ず運転されている。一方のひかりは2本だけだ。
さらに、ある程度乗降客数が多い静岡駅や浜松駅の時刻表を見ると、ひかり号は毎時1本しかない。もう1本の列車は静岡・浜松は通過するためである。
>>なぜひかり・こだまの本数が少ない!? 30分に1本だけの理由
山陽新幹線では、そもそもひかり号はレアな列車である。九州新幹線が開業したことで、以前走っていた列車は「さくら号」に置き換えられた。
運賃(指定席特急券)の違い
<指定席特急券の料金の違い> | |||
のぞみ | ひかり | 差額 | |
---|---|---|---|
東京~名古屋 | 4,920円 | 4,710円 | 210円 |
東京~新大阪 | 5,810円 | 5,490円 | 320円 |
東京~広島 | 7,560円 | 7,030円 | 430円 |
東京~博多 | 9,310円 | 8,670円 | 640円 |
のぞみは割高
のぞみ号は速達性が高いという理由から、指定席特急券の料金はひかり・こだまよりも割高な料金となっている。
210~620円の差額が発生する。乗車区間が長くなるほそ、のぞみとひかりの金額の差が拡大する。
しかも通常期・繁忙期・閑散期のようにシーズン別で料金が前後する。繁忙期にあんると通常期+200円の割増料金がかかる。
ひかり号は年間を通して指定席特急券の料金は一律である。しかも通年でのぞみ号より割安に設定されている。
このシステムはグリーン車特急券においても同じである。
自由席特急券
自由席特急券の場合はのぞみとひかりの違いはない。すべての種別で同じ値段に設定されている。
これは、乗客がどの列車に乗るかわからないからといわれている。座席指定ではないことから、好きな列車に乗車できる。
ただし、自由席の車両数はのぞみ号だとたったの3両分しかない。ほとんどが指定席に割り当てられているため、始発駅以外だと座れない可能性が大きくなるという欠点もある。
ひかり号に関しては名古屋以西なら比較的空席が多い。一方の東京~名古屋の区間は東海道新幹線で最も乗客数が多いところになるため、自由席は満席になりやすい。
自由席の車両数の違い
自由席の車両数の違いもまた、のぞみ号とひかり号の大きな違いの1つといえる。
種別 | 自由席の車両数 |
のぞみ | 3両(1~3号車) |
ひかり | 5両(1~5号車) |
>>のぞみの「自由席」はどうして少ない!? 1~3号車だけの理由とは?
のぞみ号は16両編成中、自由席はたったの3両分だけである。1~3号車が自由席だが、4号車以降は普通車指定席またはグリーン車に設定されている。
ひかり号は16両編成中、自由席は5両分ある。1~5号車が自由席に設定されている。より割安な料金で乗車できる隻数が多いことを意味する。
とはいえ、いずれも途中駅で空席を見つけるのは結構難しい。特に、ひかり号の一部だけが停車する静岡駅においては、狙う人が多いため難易度が高い。
自由席特急券でお金を節約したが座れなかったという経験をしたことがある人も少なくないはずだ。