新幹線の「全車自由席」とは!? 対象列車とその条件

全車自由席の新幹線

新幹線の「全車自由席」とは、すべての普通車の座席が自由席になる列車のことを指す。

対象列車とその条件に関しては、各路線によって異なるものの、通勤需要向けの便やダイヤが大幅に乱れた場合の臨時便で適用されることが多い。

前者の例は、東北新幹線なすの号と上越新幹線たにがわ号に該当する。


全車自由席とは?

普通車自由席 普通車指定席 グリーン車/グランクラス車
ふつうの場合 自由席 指定席 グリーン車・グランクラス
全車自由席 自由席 自由席 グリーン車・グランクラス

一般的な新幹線の場合、1つの列車には普通車自由席・普通車指定席・グリーン車の3種類が設定されている。一部路線ではさらにグランクラス車もある。

普通車には自由席特急券で乗れる「自由席」とやや割高な指定席特急券が必要になる「指定席」がある。

全車自由席になると、普段は指定席に割り当てる車両も自由席に切り替わり、求められる特急券も自由席特急券のみで済む。

座席指定券が不要なところが大きな特徴といえる。

>>【新幹線】指定席vs自由席! どっちが良いか違いを比較

一方で、「全車自由席」でも自由席特急券で乗車できるのはあくまでも普通車のみ。

グリーン車やグランクラス車は普段通り追加料金が発生し、グリーン車指定席券やグランクラス車指定席券が必要になる。

全車自由席の定期列車

定期列車で全車自由席として運転される新幹線の路線・種別は以下である。

路線名 列車名 適用条件
東海道新幹線 こだま号(東京~静岡) 上り:平日の朝9時までに新横浜駅に到着する便
下り:21時頃以降に東京駅を発車する便
こだま号(名古屋~新大阪) 下り:平日の朝9時までに新大阪駅に到着する便
上り:21時頃以降に新大阪駅を発車する便
東北新幹線 なすの号 上り:平日の朝9時台までに東京駅に到着する便
下り:17時以降に東京駅を発車する便
上越新幹線 たにがわ号 上り:平日の朝9時台までに東京駅に到着する便
下り:17時以降に東京駅を発車する便
※平日のみ。土日祝は普通車一部指定席に。

首都圏エリアを中心に短距離区間のみ運転される朝夜の列車にて「全車自由席」で運転されている。

いずれも平日のみに適用される。土日祝は普通車指定席が設定されている。詳しく言うと、休日ダイヤの日は朝夜でも自由席と指定席が混在する。

運転区間が大都市圏にまたがる列車、通過駅のある優等列車では指定席が設けられている。

なお、上記以外のも区間運転の列車、早朝・深夜の便では全車自由席で運転される列車はある。

東海道新幹線こだま号

全車自由席のこだま号

>>【新幹線】こだま号の自由席の混雑状況を調査! 乗車率の目安

東海道新幹線のこだま号は首都圏エリアと近畿エリアの2つにて平日の朝と夜に「全車自由席」の列車を運転。

東京口は朝9時までに新横浜駅に到着する上り列車、21時頃以降に東京駅を発車する下り列車が該当。

いずれもほとんどが東京~三島・静岡の区間運転の列車である。

ターゲットとしている乗客層も、首都圏の新幹線通勤圏に当たる小田原駅・熱海駅・三島駅を乗り降りする人達。

新大阪口もまた、朝9時までに新大阪駅に到着する下り列車、21時頃以降に新大阪駅を発車する上り列車が該当。

いずれも京阪神地区の新幹線通勤圏に当たる米原駅・岐阜羽島駅・名古屋駅を乗り降りする人をターゲットとしている。

なお、早朝や夜遅くの時間帯でも、のぞみ号とひかり号ではどの列車でも指定席が設定されていて、自由席は普通車の中の一部分に過ぎない。

東北新幹線なすの号

全車自由席の東北新幹線

>>東北新幹線「なすの」なら自由席で座れる!? 混雑状況はどう?

東北新幹線のなすの号は首都圏エリアのみの利用者のための近距離種別である。

平日の朝の上りと夕方以降の下りの列車にて「全車自由席」で運転されている。

朝の時間帯では9時台までに東京駅に到着する上り列車のなすの号はすべて普通車全席自由席。

夕方・夜の時間帯に入る17時以降に東京駅を発車する下り列車のなすの号も同様に普通車全席自由席になる。

新幹線通勤をする乗客が乗り降りする駅は、小山駅・宇都宮駅・那須塩原駅の3駅。

東京駅から概ね1時間程度の圏内のため、新幹線による通勤需要が大きい。

上越新幹線たにがわ号

全車自由席の上越新幹線

>>【新幹線】たにがわ号の自由席・指定席の混雑状況を時間帯ごとに調査

上越新幹線のたにがわ号もまた首都圏エリアのみの利用者のための近距離種別である。

平日の朝の上りと夕方以降の下りの列車にて「全車自由席」で運転されている。

詳細な条件は東北新幹線なすの号と全く同じ。

朝の時間帯では9時台までに東京駅に到着する上り列車のたにがわ号はすべて普通車全席自由席。

夕方・夜の時間帯に入る17時以降に東京駅を発車する下り列車のたにがわ号も同様に普通車全席自由席になる。

新幹線通勤をする乗客が乗り降りする駅は、熊谷駅・本庄早稲田駅・高崎駅の3駅。

東京駅から概ね1時間程度の圏内のため、新幹線による通勤需要が大きい。

さらに、早朝の上りのとき号1本も平日は全車自由席で運転されている。

異常時の全車自由席

新幹線のダイヤ乱れ

新幹線で普段はすべての列車にて指定席が設定されている列車でも、大幅なダイヤの乱れが生じた時に運転される臨時列車では「全車自由席」で運転されることがある。

東海道山陽新幹線のぞみ号、ひかり号、東北新幹線やまびこ号、上越新幹線とき号、北陸新幹線はくたか号では運転見合わせ直後や計画運転直前の列車にて「全車自由席」の列車が運転されることがある。

いずれも、いつ運転できるかわからない列車、指定席特急券を販売できる状態ではない場合に運転される。

なお、異常時でも自由席特急券で乗車できるのは普通車のみ。グリーン車やグランクラス車はそもそも誰も乗車できない「締切扱い」になることが目立つ。

また、全車自由席であってもそもそもダイヤが大幅に乱れていて供給力そのものが需要を大きく下回っていることがほとんど。

したがって、普通車のすべてが満席で、デッキや通路上に多くの立ち客が発生していることがほとんど。


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