新幹線の路線ごとの「全車指定席」を導入の有無! それらの背景も

新幹線の全車指定席

全国の新幹線の「全車指定席」の導入の有無について路線および種別ごとに調査してみた。自由席がある事例とない事例それぞれの背景も合わせて考察する。

現在のところ、すべての座席が指定席の列車は東北新幹線のはやぶさ、はやて、秋田新幹線のこまち、北陸新幹線のかがやきの3種類である。

これら以外では確実に自由席がどの列車でも設定されている。全席指定席と自由席と混在する新幹線の違いは何か。



新幹線の路線・種別ごとの全車指定席の有無

<早見表:自由席の有無>
路線 種別 自由席の有無 備考
東海道新幹線 のぞみ 東海道、山陽、九州新幹線は全列車自由席あり
ひかり
こだま
山陽新幹線 のぞみ
ひかり
こだま
みずほ
さくら
九州新幹線 みずほ
さくら
つばめ
東北新幹線

(北海道新幹線含む)

はやぶさ × 全車指定席
はやて × 全車指定席
やまびこ 自由席あり
なすの
秋田新幹線 こまち × 全車指定席
山形新幹線 つばさ 自由席あり
上越新幹線 とき 自由席あり
たにがわ
北陸新幹線 かがやき × 全車指定席
はくたか 自由席あり
あさま

全国の新幹線の各路線および種別ごとの全車指定席の導入の有無は上の表の通りになる。自由席が少しでもあれば、それは一部指定席という形になる。

○印はすべての列車で少なからず自由席があることを示す。×は自由席がゼロで「全車指定席」を示す。

見てわかる通り、ほとんどの路線では自由席が用意されている。指定席と自由席が混在している。

本当に全席指定席のシステムを導入しているのは一部の速達型のところに過ぎない。

参照:【新幹線】指定席vs自由席! どっちが良いか違いを比較

東北新幹線

全車指定席の東北新幹線のはやぶさ
  • はやぶさ=全席指定席
  • はやて(消滅に近い)=全席指定席
  • こまち=全席指定席
  • やまびこ=自由席あり
  • つばさ=自由席あり
  • なすの=自由席あり

>>新幹線のはやぶさ・はやてに自由席がない、その理由とは!?

東北新幹線でははやぶさ・はやて、それと秋田新幹線のこまちで「全車指定席」となっている。

いずれも速達型の種別である。はやて号は八戸~新青森の開業で登場したはやぶさ号の存在でほぼ消滅状態だが、それ以前からすでに全車指定席になっている。

秋田新幹線のこまち号は東京~盛岡では原則はやぶさ号と連結して運転される。つまり、東京~盛岡の停車駅ははやぶさ号と同じになる。

大宮~仙台間はノンストップ、そして最高速度が320km/hであることが、全車指定席を導入している背景だ。

東北新幹線で自由席あるのは、やまびこ・なすの、それと山形新幹線のつばさだけである。

北陸新幹線

全車指定席の北陸新幹線のかがやき
  • かがやき=全席指定席
  • はくたか=自由席あり
  • あさま=自由席あり

>>北陸新幹線の「かがやき」に自由席がないのはなぜだ!?

北陸新幹線ではかがやきが「全車指定席」を導入している。

こちらも東北新幹線と同じように最速種別であり、大宮~長野はノンストップである。北陸地方の部分の長野~金沢間でも、富山駅にのみ停車する。

北陸新幹線で自由席があるのははくたか号、あさま号になる。はくたか号は長野~金沢間はほぼ各駅停車、あさま号は東京~長野の区間運転かつ各駅停車である。

はくたか号・あさま号と比べて所要時間が短いかがやき号だけが自由席が一切ない。

東海道・山陽・九州新幹線

  • のぞみ=自由席あり(3/16両編成)
  • みずほ=自由席あり(3/8両編成)
  • ひかり=自由席あり(5/16両編成)
  • さくら=自由席あり(3/8両編成)
  • こだま=自由席が大半
  • つばめ=自由席が大半

東海道・山陽・九州新幹線では「全車指定席」の種別は今のところない。種別に関わらずすべての列車にて自由席が設定されている。

東京~博多間を走るのぞみ号は速達型に当たるものの、1~3号車が自由席である。

指定席の車両が圧倒的に多いのは確かだが、東北・北陸新幹線のように100%全席を指定席にしているわけではない。

新大阪~鹿児島中央を結ぶみずほ号も速達型の種別だが、同じように1~3号車は自由席になっている。8両編成での運転ということで、比較的自由席の割合が大きい。

東海道新幹線のひかり号、山陽・九州新幹線のさくら号も準停車型の種別で、同じく自由席の設定がある。

東海道・山陽新幹線の各駅停車のこだま号、九州新幹線のつばめ号は一部が指定席になっているが、大半は自由席に設定されている。

>>のぞみ号が「全車指定席」でない理由とは!? 自由席の存在意義

上越新幹線

  • とき=自由席あり
  • たにがわ=自由席が大半

上越新幹線は東京~新潟間の334kmということで路線の総延長が短い。東京~名古屋、東京~仙台と似たような距離である。

とき号が速達型、たにがわ号が停車型となっているものの、停車駅の数自体はそれほど大きな違いはない。

東北新幹線や北陸新幹線とは事情が異なるため、「全車指定席」の導入には踏み切っていない。とき号でも自由席の設定が必ずある。

混雑状況を見ても、上越新幹線だけが緩やかである。自由席に乗っても行楽シーズンでない限りは空席が目立つ。

全席指定席にする背景

新幹線にて全席指定席にする理由としては、以下があげられる。

<全車指定席の背景>
主な理由 詳細な内容
長距離輸送が中心 長距離利用者は指定席を選択する傾向。確実に座りたいという需要が特に大きい。自由席があるとその分着席保障できる座席数が少なくなる。
中距離輸送は停車型へも誘導 中距離利用者を速達型に集中させずに停車型への分散を図ることが目的。自由席があると速達型に混雑が集中しやすい。
鉄道事業者の収益増加 指定席特急券は自由席特急券よりも割高なため、JRに入る収益高が増加。利益率が高いというメリットが運行会社にある。

指定席のメリットとして、乗客側には「100%確実に座れる」という着席保障の点があげられる。自由席だと混んでいる時間帯なら空席なしで立って乗らざるを得ないという事態もある。

>>【路線別】新幹線の自由席に座れない確率を時間帯・曜日ごとに調査

一方の鉄道事業者であるJR各社には収益が良いという点がある。自由席特急券よりも指定席特急券の方が運賃が高いため、供給側が稼げる金額が大きい。

長距離輸送が中心

まず、全車指定席の導入する路線を見ると長距離利用向けの種別に限って導入されている。停車駅が多い種別ではすべてで自由席が設定されている。各駅停車型になれば、指定席よりも自由席の方が多い。

東海道山陽新幹線ののぞみ号は速達型であるものの自由席が設置されている。しかし、それでも16両編成のうち1~3号車の3両分にとどまり、残りは普通車指定席またはグリーン車指定席である。

長距離利用者は確実に座れる保証を求めるため、必然的に指定席を選択する割合が多くなる。反対に近距離利用者は値段が割安で気軽に乗れる自由席を好む。これが背景の1つ目の理由だろう。

中距離輸送の停車型種別への誘導

2つ目は中距離輸送を停車型の種別へ誘導したいという目的がある。

東北新幹線の場合だと東京~仙台ははやぶさが主役だが、混雑緩和のためにやまびこへも誘導したいという思惑がある。この区間で誰もがはやぶさを利用すると、すぐに満席になって輸送力不足に陥る。

秋田新幹線も東京~盛岡でははやぶさと連結して運転されるため、はやぶさに合わせた対応となっている。自由席がない理由は東北新幹線と全く同じである。

北陸新幹線でも東京~長野はかがやきが最速だが、はくたか・あさまへも混雑緩和のために誘導したいという思惑がある。満席のなりやすさを防ぐために、かがやきでは全車指定席を導入している。

鉄道事業者の収益拡大

指定席特急券は自由席特急券に比べて割高な料金に設定されている。つまり、同じ区間でも指定席の方が鉄道事業者であるJRにとっては利益率が大きい。

新幹線で自由席を設けるとその分収益が下がる。利潤を出すという企業の最大の目的を果たすためには、全車指定席の制度は都合が良い。

速達型の種別では、指定席特急券には同一区間でも停車型より値段が高い。加算運賃が設定されている。

全席指定席かつ加算料金によって、速達型の種別を利用する乗客から受け取る運賃が高いことで、JRにとってメリットがあるわけだ。

速達型の種別であえて自由席を設定しないもう1つの理由なのは確かだろう。

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