東海道新幹線の区間/列車ごとの最高速度を調査

東海道新幹線

東海道新幹線の区間および列車ごとの最高速度を調査。東京~新幹線ののぞみ号、ひかり号、こだま号いずれも対象とする。

2015年3月14日のダイヤ改正にて285km/hに引き上げられたが、実際にこのスピードを出す区間はどこなのか。古い路線ということでカーブが多いとされるが、本当に高速運転できるのだろうか。

285km/h運転できる車両は限られる。東海道山陽新幹線で主力車両となっているN700系シリーズのみが対応している。一世代前の車両である700系は残念ながら270km/hまでしか出せない。


東海道新幹線の区間・列車ごとの最高速度

区間 のぞみ ひかり こだま
東京~品川 100km/h 100km/h 100km/h
品川~新横浜 200km/h 200km/h 200km/h
新横浜~新大阪 285km/h 285km/h 285km/h
※主な減速箇所
・武蔵小杉駅付近
・熱海駅
・その他曲線半径2,500mのカーブ

東海道新幹線の最高速度は285km/h。種別ごとの違いはない。

◎各列車ごとの最高速度

※300km/h運転(N700系)は山陽新幹線の区間のみで実施。

主力車両のN700系は300km/h運転に対応している。しかし、このスピードで営業運転しているのはJR西日本が管轄する山陽新幹線の区間のみ。

JR東海が管轄する東海道新幹線では285km/hが上限。

旧式の700系は270km/hが最高速度に設定されている。

東京~品川

N700A

東海道新幹線の東京~品川までの区間の最高速度は100km/h。

駅間が短いこともあって、並行する在来線の東海道本線と大差ない。

品川駅も全列車停車することから、高速運転の必要性が薄いところとされている。

品川~新横浜

品川~新横浜

品川~新横浜の区間の最高速度は200km/h。

ただし、この区間でも規格外のカーブが存在する。

東海道新幹線の最小曲線半径は2,500mだが、この区間が大都市部を通ることで直線的な建設が難しかったことから例外的に急カーブが存在。

武蔵小杉駅付近には曲線半径600mのカーブがあり、N700系でも110km/hまで減速する。

品川~多摩川橋梁までの直線でも最高速度は170km/hに制限。

新横浜~新大阪

新横浜~新大阪

新横浜~新大阪の区間ではのぞみ号、ひかり号、こだま号を問わず285km/hが最高速度。

直線的な区間では285km/hまで出せる構造。

駅間によって最高速度が低下する区間は新横浜駅から西側にはない。

ただし、曲線半径2,500mの箇所ではN700系でも285km/hでの通過はできない。

ここではかつての最高速度だった270km/hまで減速する。

なお、旧式の700系では曲線半径2,500mのカーブでは255km/hに規制されている。

N700系は車体傾斜装置が付いていることで、曲線通過速度は本則+15km/hに設定。従来の700系よりは高速でカーブを曲がれる。

主な減速箇所

曲線半径2,500m

東海道新幹線では減速余儀なくされる部分が結構存在する。

減速箇所 制限速度 理由
武蔵小杉駅付近 110km/h 半径600mの規格外の急カーブがあるため。車体傾斜がない500系と700系は170km/hまで減速。
熱海駅 185km/h(N700系)
170km/h
曲線半径1,500mのため。N700系は車体傾斜があるため、曲線通過速度は本則+15km/h。

上記以外でも、曲線半径2,500mのカーブではN700系が270km/h、700系が255km/hまで減速。

曲線半径4,000mが基本の山陽新幹線のように300km/h運転が実施されていない理由も、この曲線半径2,500mの箇所が多数あることが理由。

武蔵小杉駅付近

JR横須賀線の武蔵小杉駅付近には東海道新幹線の線路も曲線半径600mという規格外のカーブが存在。

N700系でも110km/hまで減速。

前後の区間の最高速度は、品川側は170km/h、新横浜側が200km/hに設定。

元々比較的低速度で走行する区間だが、東海道新幹線では目立った急カーブではある。

熱海駅

熱海駅構内とその前後の部分では曲線半径1,500mの規格外のカーブが存在。

>>熱海駅を通過する新幹線は185km/hまで減速! その理由とは?

周辺が地形的にカーブを緩やかに建設する余裕がなかったため、例外的に半径2,500mを下回る結果になった。

駅付近は山間部となっている。熱海の市街地も山と海の間の狭いスペースに立地している。新幹線の本来の規格で熱海駅に接するように線路を建設できなかった。

曲線半径1,600mの通過速度はN700系で185km/h、700系で170km/h。

N700系は車体傾斜装置が付いていることで、曲線通過速度は本則+15km/hと規定。

出せない区間の方が少ない!?

東海道新幹線はカーブが多いのが特徴ということで実際に285km/hを出せる区間はあまりないとイメージしてしまうところであるが、N700系であればほとんどの区間で出せる。車内信号であるATCの制限速度も285km/hを表示する。

山間部となるとカーブが多くなるが、平地だと比較的直線が長い。このようなところでは最高速度を出せる。

例えば、新横浜~小田原、三島~掛川、浜松~岐阜羽島、米原~新大阪は直線が長くて制限速度がかかるカーブが少ない。これらの区間はトンネルも少ない。しかも田園地帯を走っているため、建設当時も土地の収用にも余裕があった。

逆に285km/h出せない区間といえば、小田原~熱海、掛川~浜松、岐阜羽島~米原の区間である。いずれも山間部であり制限速度がかかるカーブが多い。最新型車両であるN700系シリーズでも高速走行が難しい。

また、東京~新横浜もスピードが出せない。ここは新幹線としての規格とは程遠い区間である。急カーブが連続し低速区間となっている。

そもそも、どうしてカーブが多い!?

N700系

東海道新幹線は高度経済成長期の1960年代に建設されたということで古い規格でカーブが多いのが特徴だ。当時は最高で200km/h程度での営業運転を前提としていたため、新しい路線のように高規格な設計にはしなかった。

また、当時は1964年の東京オリンピックの開催に間に合うように計画されたため、工事も突貫工事で行われた。そうした事情もあって、東海道新幹線はあまりスピードが出せない規格となってしまった。

ではどうして現在のように285km/hまで最高速度を引き上げることができたのか。それは、車両の設計技術が大幅に向上したからである。主力車両のN700系は車体を傾斜させることで曲線を高速で曲がれるようになっている。

速度を劣らずにカーブを曲がるという技術が進歩したことにより、建設された当時の200km/h程度という予定よりも大幅にスピードアップされたのである。

他の新幹線の最高速度の事情

路線名 速度 種別ごとの補足
東海道新幹線 285km/h のぞみひかりこだま
みずほ、さくら、つばめ
山陽新幹線 300km/h
九州新幹線 260km/h
北海道新幹線 260km/h はやぶさ
やまびこなすの
東北新幹線 275-320km/h
秋田新幹線 130km/h
山形新幹線 130km/h
上越新幹線 240km/h
北陸新幹線 260km/h

参照:新幹線の最高速度を地図化! 路線と区間ごとにすると!?

他の新幹線の区間と列車ごとの最高速度の事情について解説。


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