業界ごとの就職難易度について5段階にレベル別に分ける。新卒採用および中途採用での倍率、世間一般のイメージなどを考慮。
各業種を最難関・やや難・ふつう・やや易・駅の5つに分ける。
なお、今回は基本的に総合職またはそれに準ずる職種を対象にする。専門職・現業職は対象外。事務職や技術職などの文理別での違いは考慮しない。
早見表:業界ごとの就職難易度
レベル | 業界 |
---|---|
最難関 | 鉄道、航空、電気、ガス、エネルギー、鉱業、放送、総合商社 |
やや難 | 銀行、保険(損保・生保)、旅行、新聞、情報通信、出版、食品、化学、薬品、繊維、化粧品、官公庁、公共団体 |
ふつう | 機械、プラント、電気・電子機器、建設、鉄鋼・金属、自動車・輸送用機器、印刷・事務機器関連、精密・医療機器、スポーツ・玩具、運輸・物流、広告、コンサルティング |
やや易 | 住宅、専門商社、不動産、ソフトウェア、インターネット、クレジットカード、信販・リース |
易(楽勝) | フードサービス(飲食業)、ホテル、医療・福祉、アミューズメント、百貨店・コンビニ・量販店・スーパー(小売業) |
実際には各企業にとって就職難易度は異なる。同一業種でも経営状態・ネームバリュー・採用人数・勤務条件で違いが見られる。
上記の表はあくまでも業界を平均的に捉えた時の難易度の目安。
業界内の売上ランキングでも、トップ勢は人気度が高いが、中堅以下の企業では不人気になりやすく、各社ごとの差は小さいものではない。
最難関
業界全体で就職難易度が最も高い「最難関」に該当する業界といえば、以下の業種である。
- 鉄道会社
- 航空会社
- 電気、ガス、エネルギー
- 鉱業
- 放送(テレビ局)
- 総合商社
いずれも新卒採用および中途採用のいずれでも難易度が最高位に達する。
インフラ会社という性質が高いところが目立つ。企業名そのものも世間的に広く知られていて、知らない人はいないようなところも多い。
経営も非常に安定していて、給料水準もどこもかなり高い。
会社に対するイメージが良いことに加えて労働条件が良好という点こそが人気の理由となっている。
これにより採用の募集では大量の人が応募して結果的に倍率が数百倍というレベルになり、難易度が最高レベルに達している。
やや難
業界全体で就職難易度が上記の次に難しい「やや難」に該当する業界といえば、以下の業種である。
いずれもやはり新卒採用および中途採用のいずれでも難易度が最高位に達するところが少なくない。
ただし、実際にところは各企業によって異なるのも確か。
全国に進出している業界トップクラスの会社こそは毎年の採用で倍率が数百倍になる超難関企業のところもあれば、特定の地方だけに進出していて全国的には知名度が低い会社もある。
知名度が高い企業ではレベルが最難関クラスになるが、知名度があまり高くない企業ではふつう未満になり、平均して「やや難」になる業界が目立つ。
ただし、業界そのものは世間的に広く知られていて、業務内容そのものを知らない人はいないようなところも多い。
全体的に経営も非常に安定していて、給料水準も高い事例が主流派である。
会社に対するイメージが華やかであることも否定できない。このプラスの印象のある点こそも人気の理由となっている。
倍率は最低でも数十倍というレベルになり、難易度がやや難というクラスに達する根拠ができている。
ふつう
業界全体での就職難易度が高くもなければ低くもない「ふつう」に該当する業界といえば、以下の業種である。
新卒採用および中途採用のいずれでも難易度が高いところもあれば低いところもあり、それらが拮抗している形である。平均するとふつうレベルになるのが特徴ではないか。
各企業によって異なるのも確かで、必ずしも業界内の会社すべてで就職難易度が標準的という意味ではない。
業界トップクラスの会社こそは毎年の採用で倍率が数百倍になる超難関企業が目立つ。テレビCMを放映している会社では就職難易度が上がるのも特徴。
一方の中堅クラスにまで下がると全国的な知名度が低い会社が目立ってきて、倍率も低い水準にまで下がる。
上場企業であっても業界内でのトップ勢でなければ、就職難易度は高いものではなくなる。新卒採用・中途採用問わず応募する人が特定の人達に限られてくる。
業界内トップ勢こそが就職先として非常に人気でも、それ以外は人手不足に陥っている傾向から、平均すれば「ふつう」になる。
業界そのもの世間的に広く知られているかというと、必ずしもそうではない。
業務内容そのものを知らない人も多い。関係者ではない人だと仕事のイメージができないのもこのランク帯の特徴でもある。
経営状態も各社で大きく異なる。それに関連する形で、給料水準も高い・低いのいずれも入り混じっている
会社に対するイメージが華やかであることも否定できない。このプラスの印象のある点こそも人気の理由となっている。
倍率は最低でも数十倍というレベルになり、難易度がやや難というクラスに達する根拠ができている。
やや易
業界全体で就職難易度が比較的簡単で「やや易」に該当する業界といえば、以下の業種である。
- 住宅メーカー
- 専門商社
- 不動産
- ソフトウェア・インターネット
- クレジットカード
- 信販・リース
新卒採用および中途採用のいずれでも上記で挙げた業界と比べるとトップ勢を含み難易度が低い傾向にある。
各企業によって事情が異なるとはいえ、業界全体で見ると就職先としては不人気と判断できる。
全国に進出している業界トップクラスの会社でも毎年の採用で倍率が数倍程度が限度になるところが目立つ。上場企業であっても応募する人は決して多くはない。
テレビCMを放映していて知名度こそが高くても、その会社で働きたいと思う人があまりいないのが「やや易」の特徴である。
全体的に経営も非常に安定していて、給料水準も高い事例が主流派である。
会社に対するイメージもあまり良いものではない。競争が激しい傾向も見られる。労働時間が長い、営業ノルマや自爆営業があるといった「ブラック企業」として取り上げられやすい。
プラスのイメージに乏しいともいえる。こうした背景から、ここに該当する業界の就職難易度は「やや易」という表現が妥当だと考える。
易(楽勝)
業界全体で就職難易度が低くて「易」に該当する業界が以下の業種である。
- フードサービス(飲食業)
- ホテル(宿泊業)
- 医療・福祉
- アミューズメント
- 百貨店・コンビニ・量販店・スーパー(小売業)
新卒採用および中途採用のいずれでも難易度は大幅に低い傾向にある。
業界内でもかなりの高い割合で倍率が1倍かそれに近い数値になりやすい。募集をかけても応募者が集まらないのもこれらの業界である。
全国に進出している業界トップクラスの会社でも毎年の採用で採用計画に満たないとも言われている。上場企業であっても応募する人は少ない。
テレビCMを放映していて知名度こそが高くても、その会社で働きたいとは思わない人もかなりの数にのぼる。
会社の経営状態はかなり安定しているところもある。
しかし、仕事内容に対するイメージ、給料水準の低さ、長い労働時間、年間休日の少なさのいずれかが存在する。
各企業の採用データでも、平均勤続年数が短くて3年以内の離職率が高い傾向にもある。
実際に勤務することを考えると何らかの致命的な内容が存在するリスクが高く、これが人気度を下げている。
こうした背景から、ここに該当する業界の就職難易度は「易」に当たり、「楽勝」が分かりやすい表現だろう。