南海高野線にて遅延が多い原因について調査。主要な要因は2つ。
混雑による停車時間の超過、踏切関連の輸送障害、橋本~極楽橋間の「こうや花鉄道」の愛称が付く単線区間の存在が具体的な内容。
頻度の面では、近畿地方ではやや多いレベル。同じ南海電車の関西空港・和歌山市方面と行き来する本線と比べても高野線はダイヤの乱れが多い。
<最新の遅延情報に関してはこちらの南海電鉄公式HPにて>
目次
南海本線の遅延の主な理由
遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
---|---|---|
混雑による乗降時間の延長 | ★★★★★ | 途中駅での停車時間超過 |
単線区間の存在 | ★★★★★ | 橋本~極楽橋間の登山鉄道区間の単線 |
踏切関連 | ★★★★ | 踏切での人身事故、緊急停止と安全確認等 |
南海高野線にて遅延の原因となるのは、上記の3つが当てはまる。
まずは混雑による乗降時間超過。朝夕の通勤ラッシュで大混雑になり、駅での乗降時間の延長による停車時間の超過が遅れにつながる。
この点では他の路線との違いはない。
急行・区間急行・準急に特に乗客が殺到し、停車駅ではしばしば乗降時間超過が発生。
各駅停車は1つの駅での停車時間の超過はそれほどの長さにはならないものの、駅数が多いことで合計した遅れ時間が拡大しやすい。
踏切の存在もまたダイヤの乱れの原因。
踏切での人身事故、あるいは列車通過直前横断等(踏切内点検)があると電車が遅れる。
これら以外にも急病人救護、線路内立ち入り、駅構内の非常ボタンの作動、車両故障・設備故障などもあり得る。
そして、単線区間の存在。
南海高野線の難波~橋本間は複線区間である一方、登山鉄道の性質を持つ橋本~極楽橋間は単線。上下線のどちらか一方でも遅れると双方が遅れる。
急行以下の通勤電車のほとんどは橋本駅にて系統分離されているものの、特急こうや号などは直通運転を実施。
混雑による停車時間の超過
混雑が原因での遅延の詳細
- 南海高野線:百舌鳥八幡→三国ヶ丘で混雑率約120~130%
- 北野田駅・堺東駅で停車時間の超過が多発
>>南海高野線、どれくらい混雑する!? 急行などは座れない?
南海高野線の朝ラッシュは関西圏では上位勢ではあるもののトップ級ではない。
混雑率は百舌鳥八幡→三国ヶ丘で混雑率127%(2017年データ)。ここ数年は120%台で推移。
それでも優等列車を中心に朝ラッシュ時となれば満員電車に。各駅停車と優等列車では、圧倒的に後者の方が混雑。
準急以上の列車種別が停車する駅では、誰もが速達列車に乗りたいという傾向によって大混雑になる。
これらの停車駅にて全員が乗り切るまでには相当の時間がかかることで、停車時間の超過が起こることがしばしば。
北野田駅・堺東駅の2駅で特にこれが起こりやすい。
各停であれば30秒程度の停車時間になるところ優等列車では1分以上にもなる場合が少なくない。
1駅だけであれば1,2分程度の遅れにとどまる。しかし複数の駅に渡って続くと5分以上の遅延につながる。
優等列車の混雑
朝ラッシュに当たる7~9時の南海高野線の列車種別の中でも「急行」「区間急行」「準急」の3つにて特に混雑。
各駅停車は停車駅が多いため所要時間が長くなる。途中駅にて後続列車の通過待ちのために5分以上停車する駅も存在するため、これを敬遠する人たちが多い。
堺東駅から河内長野・橋本側より大阪市内方面へ向かう人達はこれらの優等列車を選択するため、乗降時間超過が特に起こりやすい。
停車時間が長くなるのが確実なのは北野田駅・堺東駅。ここで優等列車の発車が遅れる。
これに加えて途中で前を走る各駅停車に追いついたことで徐行運転が生じるとさらに遅れ幅が拡大する。
単なる乗降時間超過で済めば、遅延時間は5分未満に収まるものの、ドア挟まりがあればすぐに5分以上の遅れに達する。
踏切関連の運行障害
南海高野線の場合は主要な道路と踏切で交差している箇所が複数ある。
南海本線やJR阪和線と比較しても連続立体交差が整備されている区間が非常に少ない。
特に運転本数が多い堺市内でも地上を走るのは地域の課題となっている。
「開かずの踏切」としての問題に加え、そこで多発する人身事故やその他の「踏切内点検」で電車のダイヤが乱れる点も課題。
既存の道路で線路と高架橋または地下道で接続している箇所が非常に少なく、交通量が多い道路でさえも踏切で交差している箇所が目立つ。
人身事故
人身事故が起きる場所としては主要ポイントなのが踏切。クルマなどの一般交通と電車が衝突する可能性も高い。
踏切での事故は様々な要因の中でも「運転見合わせ」という形で大規模な運行障害になる。
一度人身事故が生じると復旧には最低でも3,4時間を要する。大幅にダイヤが乱れるのは回避できない。
人身事故は他にも駅ホームからでの転落事故、あるいは飛び込み自殺というケースがあるが、踏切の有無では頻度で大きく違ってくる。
この点に関しては、連続立体交差事業や主要な道路の立体化を行わない限りは永遠に根本的に解消されない問題である。
緊急停止による安全確認
列車通過直前横断、線路内立ち入りなども起こりやすい。これらが起こると電車が緊急停止する。
運転士による目視判断の結果から踏切内の障害物検知センサーが作動して自動的に急ブレーキがかかる場合の2パターンがある。
一旦非常停止すると運転再開までには5分はかかる。「踏切内点検」と運行情報の掲示板に記載されている場合、ほとんどは直前横断によるものと考えてよい。
南海本線は特に運転本数が多いことで踏切が閉まっている時間が非常に長い。
待ち時間を懸念して、踏切の警報器が作動した直後の無理な横断が後を絶たない。
このような性質のため、踏切関連の運行障害が起きやすい。
単線区間の存在(橋本~極楽橋間)
さらに、南海高野線では橋本~極楽橋駅間を走る山岳地区からの直通列車が難波駅まで一部乗り入れている。
難波~橋本間こそは都市型鉄道として複線となっているが、この区間は単線。
上下線いずれか一方でも遅れると、もう片方の電車にも遅れが波及。
特に下り列車(極楽橋方面行)が遅れると、反対の上り列車(難波方面行)で遅延が生じ、結果的に全線を通して遅延が生じることにつながりやすい。
ほとんどの通勤型電車は橋本駅にて系統分離されているが、特急こうやを中心に難波駅と山岳地区を直接結んでいる。。
実際のところ、南海高野線にて1日を通して遅れやすいのが特急こうや号。
時刻表通りに途中駅を通過できなくなるため、特急の通過待ちを行う各停や急行などの関係のない列車にも遅延が生じてしまう。
この点も、同じ南海電鉄の路線でも本線より高野線の方が遅れやすい理由の1つを構成。
補足~高架区間が非常に少ない
南海高野線の場合、ほぼ全線に渡って道路と交差する場所のほとんどが踏切で接している。
幹線道路であっても立体化されていないところが多く、踏切で対処されている。
踏切は人の線路内立ち入りや車と電車の接触事故などが起きやすい環境が出てしまう。
他の鉄道路線を見ると、JRでも私鉄でも高架化された区間が少なからず一定の程度は続いている。
連続立体交差事業に力を注いでいる鉄道会社では特にその傾向が強い。
しかし、南海電鉄については本線での工事が優先されていることもあって、高野線の方ではまったく積極的に取り組められていない。
高野線ではまだまだ構想段階の部分もかなり多く、開かずの踏切から遅延の発生源に根絶はまだまだ先の話になる。
その他、各路線の遅延事情について
鉄道事業者 | 路線名 |
---|---|
JR西日本 | JR神戸線、JR京都線、JR阪和線、JR東西線、JR琵琶湖線、JR嵯峨野線、JR湖西線、JR大阪環状線、JR学研都市線、JR宝塚線、JR大和路線、JR奈良線、JRおおさか東線 |
大阪メトロ | 御堂筋線、谷町線、堺筋線、中央線、長堀鶴見緑地線、四ツ橋線、千日前線、今里筋線 |
阪急電鉄 | 阪急京都線、阪急神戸線、阪急宝塚線 |
阪神電気鉄道 | 阪神本線 |
京阪電気鉄道 | 京阪本線 |
近畿日本鉄道 | 近鉄奈良線、近鉄京都線、近鉄大阪線、近鉄南大阪線、近鉄名古屋線 |
南海電気鉄道 | 南海高野線、南海本線 |