全国の主要鉄道事業者(JR・私鉄・地下鉄)の各種きっぷの乗り越し精算の計算式について。
不足する差額分を支払うパターンと、乗り越し区間の運賃(打ち切り計算)を支払うパターンの2種類が存在する。
乗車券、回数券、定期券でそれぞれ異なるのみならず、同一の種類でも各鉄道事業者によって計算方法がバラバラ。
目次
計算式は2パターン
今回は以下を事例とする。
手持ちの乗車券の券面は「A駅→B駅」で、B駅からC駅まで乗り越す場合。
金額方式|差額の運賃のみを支払うタイプ
計算式は次の通りになる。
(A-C区間の料金)-(A-B区間の料金)=追加料金
例:手持ちの乗車券の区間:東京→川崎。横浜まで乗り越す場合は以下になる。
追加料金:480円-310円=70円
大人普通運賃は
・東京→川崎…310円
・東京→横浜…480円
となっている。これの差額が追加で支払う金額。
JRの近距離(100kmまで)と多くの私鉄の乗車券はこのパターンを採用。一部の私鉄(関西)と地下鉄では回数券もこのタイプをとる。
区間方式|乗り越し区間の運賃を支払うタイプ
計算式は次の通りになる。
B-C区間の料金=追加料金
例:手持ちの乗車券の区間:東京→宇都宮。那須塩原まで乗り越す場合。
追加料金:860円(宇都宮→那須塩原の大人普通運賃)
大人普通運賃は
・東京→宇都宮…1,980円
・東京→那須塩原…2,640円
となっている。
最初から通しで東京→那須塩原の区間の乗車券を購入していた場合の支払額は2,640円なのに対し、乗り越し精算では合計で2,840円となるため、割高な料金になってしまう。
乗り越し区間の普通運賃をまるまる支払うこととなるため、メリットは特にないどころかデメリットが大きい。
ただし、区間によっては逆に割安になる事例もあるため、一概に高くなるとは言い切れない。
JRの乗車券の長距離(101km以上)、全国の鉄道事業者の回数券(例外有り)、定期券(すべての会社)でこのパターンを採用。
主要鉄道事業者の乗り越し精算の計算方法
次に主要鉄道事業者の実際の乗車券・回数券・定期券それぞれの乗り越し精算の計算方法を一覧化。
JRグループは全社共通。「JR各社の乗り越し精算のルール」
東日本・東海・西日本・北海道・四国・九州の違いは特にない。
私鉄に関しては、特に回数券で各社で対応が異なる。関西地区で特に異色さが出ている。
関東地区(首都圏)
鉄道事業者 | 普通乗車券 | 回数乗車券 | 定期券 |
---|---|---|---|
JR東日本 | 金額方式(100km以内) 区間方式(101km以上) |
区間方式 | 区間方式 |
東武鉄道 | 金額方式 | 区間方式 | |
京成電鉄 | 区間方式 | ||
西武鉄道 | 区間方式 | ||
京王電鉄 | 区間方式 | ||
小田急電鉄 | 区間方式 | ||
東急電鉄 | 金額方式 | ||
京浜急行電鉄 | 区間方式 | ||
相鉄 | 区間方式 | ||
東京メトロ | 金額方式 | ||
都営地下鉄 | 金額方式 | ||
横浜市営地下鉄 | 金額方式 | ||
※定期券は全社局「区間方式」 |
関東地区の鉄道事業者ごとの乗り越し精算の計算方法は上記の通り。
特に回数券では各社で対応が異なる。
東急電鉄、東京メトロ、都営地下鉄、横浜市営地下鉄では差額分の金額のみを支払う「金額方式」。回数券が金額ごとで販売されているため。
それ以外の私鉄では乗り越し区間分の運賃を支払う「区間方式」。通しのきっぷよりも割高な料金になる。
中部地区(東海)
鉄道事業者 | 普通乗車券 | 回数券 | 定期券 |
---|---|---|---|
JR東海 | 金額方式(100km以内) 区間方式(101km以上) |
区間方式 | 区間方式 |
名古屋鉄道(名鉄) | 金額方式 | ー | |
名古屋市営地下鉄 | 金額方式 | ー | |
※名鉄、名古屋市営地下鉄では回数乗車券を取り扱い無し。 |
東海地区(中部地区)の鉄道事業者ごとの乗り越し精算の計算方法。
名鉄と名古屋市営地下鉄は回数券の販売はない。
近畿地区(関西)
鉄道事業者 | 普通乗車券 | 回数券 | 定期券 |
---|---|---|---|
JR西日本 | 金額方式(100km以内) 区間方式(101km以上) |
区間方式 | 区間方式 |
近畿日本鉄道(近鉄) | 金額方式 | 金額方式 | |
南海電鉄 | |||
京阪電鉄 | |||
阪急電鉄 | |||
阪神電鉄 | |||
山陽電鉄 | |||
大阪メトロ | |||
京都市営地下鉄 | |||
神戸市営地下鉄 | |||
※関西地区の私鉄各社は回数券は「金額方式」。差額分の支払うのみでOK。 |
近畿地区の鉄道事業者ごとの乗り越し精算の計算方法は上記の通り。
私鉄・地下鉄の回数券は首都圏などの他の地域とは違って「金額方式」を採用しているところが大きな特徴。
回数券で乗り越ししても差額分の金額のみを支払う「金額方式」で、支払う金額の割高感がない。
定期券は他地域と同じく「区間方式」。区間外の運賃をまるまる支払うことになる。
九州地区(福岡)
きっぷの種類 | 普通乗車券 | 回数券 | 定期券 |
---|---|---|---|
JR九州 | 金額方式(100km以内) 区間方式(101km以上) |
区間方式 | 区間方式 |
西日本鉄道(西鉄) | 金額方式 | 区間方式 | |
福岡市営地下鉄 | 金額方式 | ー | |
※回数券は全社「区間方式」。別途区間分の運賃を支払う。 |
九州地区の鉄道事業者も乗り越し精算の計算方法は首都圏の大部分と共通。
回数券は私鉄である西鉄でも「区間方式」。定期券と同じく、区間外の運賃を支払うことになる。
最初から全区間分のきっぷを購入するよりも割高になる。
その他の地域
鉄道事業者 | 普通乗車券 | 回数券 | 定期券 |
---|---|---|---|
JR北海道 JR四国 |
金額方式(100km以内) 区間方式(101km以上) |
区間方式 | 区間方式 |
札幌市営地下鉄 | 金額方式 | ー | |
仙台市営地下鉄 | 金額方式 | ー | |
※上記の公営地下鉄2局は回数券なし。 |
前述の地域以外の大手鉄道事業者においても、首都圏の大半と共通。
公営地下鉄の札幌市営地下鉄、仙台市営地下鉄では回数券の発売はない。
主な項目 | 記事 |
---|---|
JRきっぷ全般 | 各種きっぷの払い戻し手数料、変更/払い戻しのルールと条件、有効期間、途中下車の可否、乗り越し精算 |
乗車券 | 日付変更の可否、区間変更の可否、有効期間、途中下車の可否、往復割引 |
自由席特急券 | 有効期間、自由席特急券の変更可否(日付/区間)、指定列車について、途中下車の取り扱い |
指定席特急券 | 指定席特急券の変更可否(日付/発車時刻/区間)、乗り遅れ時の措置 |
座席変更 | 乗車後の座席変更の可否(総合編)、自由席→指定席、指定席→自由席、指定席→自由席、グリーン車→普通車(指定席・自由席) |
定期券 | 払い戻しの条件と手数料、区間変更の注意点、1日の上限、使い回しでバレる件、通勤以外の使用、通学(学校)以外の使用 |
学割 | 学割の適用条件、必要なものと注意点、使用目的の制限、私鉄の学割、特急券の事情 |
みどりの窓口 | みどりの窓口とは?、混雑状況 |