近鉄奈良線にて遅延が多くて毎日のように頻繫に発生している原因について調査。慢性的な混雑による停車時間の超過、過密ダイヤ、大和西大寺駅での配線構造、阪神なんば線との相互直通運転の4つが主な原因に挙げられる。
関西の近畿地方の中でも特に遅延が発生しやすい方に分類される。関西私鉄の中ではトップ級に君臨し、ほぼ毎日生じる。利用者数が多いこともあって、特に電車の遅れの影響を受ける人の数も大きい。
運転見合わせのような完全ストップまではいかないが、5分くらいは遅れて駅に到着するのが当たり前になっている。
<最新の遅延情報に関してはこちらの近畿日本鉄道公式HPにて>
目次
近鉄奈良線の遅延の主な理由
遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
---|---|---|
混雑による乗降時間の延長 | ★★★★★ | 途中駅での停車時間超過 |
大和西大寺駅の配線構造 | ★★★★★ | 大和西大寺駅の配線(平面交差)によるダイヤ調整 |
過密ダイヤ | ★★★★★ | 前を走る各駅停車に追い付く現象 |
相互直通運転 | ★★★★ | 阪神線との直通運転 |
近鉄奈良線にて遅延の原因となるのは、上記の3つが当てはまる。
まずは慢性的な混雑。朝夕の通勤ラッシュで大混雑になり、駅での乗降時間の延長による停車時間の超過が遅れにつながる。
朝の時間帯は快速急行・準急に特に乗客が殺到し、停車駅ではしばしば乗降時間超過が発生。夕方も快速急行・急行の2つに殺到して同じ状態になる。
各駅停車は1つの駅での停車時間の超過はそれほどの長さにはならないものの、駅数が多いことで合計した遅れ時間が拡大しやすい。接続または通過待ちの優等列車の遅れによるものもある。
大和西大寺駅での配線の構造による遅れもある。ここは近鉄京都線と奈良線が交差する駅。平面交差の構造のため、京都線と奈良線の上下線という組み合わせの同時発着ができず、ダイヤ調整が行われることがある。これが遅延につながる。
過密ダイヤも影響。8時台では1時間当たり最大21本の電車が走る。
複々線がないこと、優等列車が充実していることで、1本の電車の少しの遅れが後続列車の遅れに波及し、路線全体で遅延という形になる。
そして、阪神線との相互直通運転。近鉄奈良線だけでなく、阪神線での遅れも波及する。
これら以外にも急病人救護、線路内立ち入り、駅構内の非常ボタンの作動、車両故障・設備故障などもあり得る。
混雑による停車時間の超過
混雑が原因での遅延の詳細
- 近鉄奈良線:河内永和→布施で混雑率約140%
- 大和西大寺駅・生駒駅・鶴橋駅で停車時間の超過が多発
近鉄奈良線の朝ラッシュは関西圏では上位。混雑率は河内永和→布施で137%(2017年データ)。
各駅停車だけの運転なら乗車率もこれに近い数値になるが、優等列車の運転があるため列車種別による違いがある。
各駅停車とそれ以外(快速急行・準急)では、圧倒的に後者の方が混雑する。
石切・東花園・八戸ノ里・布施の各駅にて後続の通過待ちを行うことで、近距離利用者以外は避ける傾向。
優等列車の混雑
朝ラッシュに当たる7~9時の近鉄奈良線の列車種別の中で優等列車に当たるのは「通勤特急」「快速急行」「準急」の3つ。
これら2種別は全線を通して乗車率が高い。
準急以上の列車種別が停車する駅では、誰もが速達列車に乗りたいという傾向によって大混雑になる。
全員が乗り切るまでには相当の時間がかかることで、停車時間の超過が起こる。
大和西大寺駅・生駒駅・鶴橋駅で特に乗降時間超過が起こりやすい。
各停であれば30秒程度の停車時間になるところ、快速急行・準急では1分以上にもなる場合が少なくない。
1駅だけであれば1,2分程度の遅れにとどまるが、複数の駅に渡って続くと5分以上の遅延につながる。
遅延証明書の発行は5分以上の延着から。近鉄奈良線の朝ラッシュの混雑状況ではこれをすぐに満たしてしまう。
大和西大寺駅での配線構造
大和西大寺駅の問題
- 奈良線・京都線/橿原線が平面交差
- 他線区のポイント通過待ちのため入線・発車が遅れやすい
大和西大寺駅の配線構造による遅延もかなり多い。
大和西大寺駅では近鉄京都線・橿原線と近鉄奈良線が交差するが、すべて平面交差のためどれかの電車にて数十秒の遅れが生じると、ほかの列車も淡路駅を発着できずに遅れが波及する。
特に京都線または橿原線と奈良線という組み合わせでは上下線が交差する形になる。片方が発着中ではもう片方は駅手前で停止せざるを得ない。
同時発着ができないため、京都線・橿原線・奈良線のいずれか一方でも数十秒の遅れが出ただけで、もう片方の路線にも遅延が生じてしまう。
乗客の乗り降り以外の面でも遅れが生じる原因がこの配線問題。
これによって2,3分の遅れが発生する。
高架化構想もあるが
大和西大寺駅の高架化構想があるものの、実現のめどは立っていない。
上下線の平面交差は解消されれば近鉄京都線の遅延は大幅に解消されると考えられるものの、今後数十年間は今の状態が続くのは確実。
大和西大寺駅の構造に起因する遅延で影響を受けやすいのが大阪難波方面へ向かう電車。
近鉄奈良駅を定刻通りに発車できても、京都線・橿原線の電車が遅れていることで大和西大寺駅手前で停止する光景がよくある。
しかも京都線・橿原線からの乗り換え客も多く乗車するため、停車時間の長くなりやすい。
過密ダイヤ
近鉄奈良線では日中でも小規模な遅延が発生しやすい。その理由は運転本数の多さにある。
昼間でも1時間当たり18本の電車が走る。
20分間に特急・快速急行・急行・準急・各駅停車2本が運転されていることで、過密ダイヤが昼間でも続く。
高頻度かつ5種類の列車が往来するため、ちょっとした遅れが後続列車にも遅れをもたらしやすい。
直接的な遅れの原因になるのは、前を走る各駅停車に後続の特急が追い付く現象。
特急・快速急行・急行・準急・各停のどれか1つでも1,2分の遅れが発生すると、後続列車も遅れる。
直通運転
前述のように、近鉄奈良線では大阪難波駅を境界に阪神なんば線と相互直通運転を実施。さらに、その先の尼崎駅より阪神本線にも乗り入れる。
運転系統は首都圏で主流な「相互直通運転」とシステム的には同じ。
阪神線直通の場合は尼崎駅を介して神戸三宮駅まで乗り入れる。
このため、近鉄奈良線内では平常運転でも阪神なんば線・本線でトラブルがあると近鉄線の電車に遅れが及ぶ。
直通先のいずれの路線も営業キロ数が長い上、全体を通して複雑な運転系統のため、ダイヤが非常に不安定な傾向。
阪神線に起因する遅延
◎阪神線内に起因する遅延
- 乗降時間超過
- 山陽電鉄線の遅れ
阪神なんば線、阪神本線での遅延自体は頻度的に少なく、ほとんどは近鉄奈良線に起因する。
それでも阪神線内に起因する場合は、途中駅での乗降による停車時間超過、あるいは山陽電鉄線内の遅れによる内容が目立つ。
阪神本線は特に優等種別が多く運転されていることで、前を走る各駅停車に特急・急行が追い付くことがある。
複数の駅に渡って続くと遅れ幅が多少は大きくなる。
もう1つは山陽電鉄線との相互直通運転。神戸高速鉄道線を介して山陽電鉄線の山陽姫路駅まで乗り入れる。
山陽電鉄では踏切が多数存在することで、人身事故や踏切内点検等で阪神本線まで影響することがある。
ただ、いずれも頻度では少ない。
まとめ
近鉄奈良線は、大阪難波~近鉄奈良までの26.7kmを走る路線である。大阪の中心部から郊外へ延びる私鉄としてはかなり距離が短い。とはいえ、沿線の風景はバラエティー豊富である。大阪府と奈良県の境である生駒山をトンネルを通っている。
営業キロ数はかなり短いのだが、遅延が多いことで悪名高い。大阪線やけいはんな線よりも電車が遅れる頻度は多い。
なぜ奈良線だけ遅れる?
近鉄奈良線ならではの遅延の特徴は上記4つの中でも下記2点が挙げられる。
- 大和西大寺駅に起因する
- ダイヤ過密
近鉄奈良線が圧倒的に遅延が多い理由としては上記の3つが挙げられる。
まず、大和西大寺駅に電車が遅れやすい原因がある。この駅には奈良線だけでなく京都線の線路も走っている。しかし、奈良線と京都線は上下線ともに平面交差する構図となっている。
そしてもう1つの遅延の原因がダイヤの過密。
近鉄奈良線の運行本数について、日中の時間帯でも大阪難波~東花園では15本走っている。つまり、平均すると4分間隔で電車が走っていることになる。
しかも、列車種別は豊富にあることから、前を走る各駅停車に後続の急行・快速急行などが追いついてしまって徐行運転になるという姿がよく見られる。
少しでも各停が遅れると後続の電車も遅れが生じてしまう。
線路容量が限りなく限界に達していてダイヤに余裕がないことが、奈良線が遅れやすい理由になっているのは間違いないだろう。
5分程度の遅れが生じる原因としては、このダイヤの過密状態に起因するケースが多い。
その他、各路線の遅延事情について
鉄道事業者 | 路線名 |
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JR西日本 | JR神戸線、JR京都線、JR阪和線、JR東西線、JR琵琶湖線、JR嵯峨野線、JR湖西線、JR大阪環状線、JR学研都市線、JR宝塚線、JR大和路線、JR奈良線、JRおおさか東線 |
大阪メトロ | 御堂筋線、谷町線、堺筋線、中央線、長堀鶴見緑地線、四ツ橋線、千日前線、今里筋線 |
阪急電鉄 | 阪急京都線、阪急神戸線、阪急宝塚線 |
阪神電気鉄道 | 阪神本線 |
京阪電気鉄道 | 京阪本線 |
近畿日本鉄道 | 近鉄奈良線、近鉄京都線、近鉄大阪線、近鉄南大阪線、近鉄名古屋線 |
南海電気鉄道 | 南海高野線、南海本線 |