特定特急券とは、特例運賃が適用された自由席特急券のことを指す。全国の新幹線にて多数の区間があるものの、基本的には隣り合う1,2駅間の区間にて設定されていることが多い。
距離に対する料金よりも割安な価格に設定されている。
ただし、東北新幹線(盛岡~新青森)、北海道新幹線(全線)、秋田新幹線(盛岡~秋田)における「特定特急券」はこれとは別の意味。自由席特急券の料金で普通車指定席の空席に座れる特例きっぷを指す。
目次
特定特急券の意味は2パターン
特定特急券のパターン | 具体的な内容 |
---|---|
自由席特急券の特例運賃 | 短距離区間のため割安な特例運賃が適用される自由席特急券。 |
全車指定席列車のみ運転区間の救済措置 | 東北新幹線(盛岡~新青森)、北海道新幹線、秋田新幹線(盛岡~秋田)にて自由席料金で普通車指定席の空席に座れる特例措置。 |
1つ目は、自由席特急券の特例運賃が本来の定価よりも割安な値段に設定されている区間の名称。
距離別運賃表にて、自由席特急券の料金が定価では1,790円のところが、870円や990円に設定されている事例を指す。
2つ目は、全車指定席列車しか運転されていない区間において自由席特急券の料金で乗れるようにするための救済措置。
東北新幹線の盛岡以北と北海道新幹線の全線、秋田新幹線の盛岡~秋田の在来線区間では自由席のある列車がまったく走っていないため、自由席特急券の料金で普通車指定席の空席に座れる特例措置を設けている。
座席指定がない代わり割安な料金で乗れるのが、ここでの「特定特急券」である。
自由席特急券の特例運賃
自由席特急券の特例運賃に当たる「特定特急券」が設定されているのは、基本的には隣り合う駅の区間のみを利用する場合。
どの路線においても、新幹線の自由席特急券の定価の最低料金は1,790円である。
ただし、近距離の利用だとこの金額はあまりにも高い値段であることから、自由席に限って割安な値段に設定している。
特定特急券の制度が適用される区間では、自由席特急券の金額は870円、990円のいずれかが多い。
各路線ごとの具体的な区間および金額については以下のようになる。
東海道新幹線
品川駅、新富士駅、三河安城駅の3駅は特定特急券の制度ができた後に開業したこともあって、その前後の駅を乗る区間も対象。
東京~新横浜、静岡~浜松、豊橋~名古屋の区間でも「特定特急券」が適用されて、通常の距離別運賃よりも割安。
距離について、営業キロ数が50km以上の区間は990円。50kmまでは870円。
山陽新幹線
新尾道駅、東広島駅、厚狭駅の3駅は特定特急券の制度ができた後に開業したこともあって、その前後の駅を乗る区間も対象。
距離について、営業キロ数が50km以上の区間は990円。50kmまでは870円。
九州新幹線
九州新幹線では新八代~川内間の区間では「特定特急券」の制度がない。1駅間の自由席の利用でも、特急料金は1,790円かかる。
博多~久留米間は2駅間ではあるが「特定特急券」が適用される。
東北新幹線
くりこま高原駅、水沢江刺駅、新花巻駅の3駅は特定特急券の制度ができた後に開業したこともあって、その前後の駅を乗る区間も対象。
距離について、営業キロ数が50km以上の区間は1,000円。50kmまでは880円。
東京駅を利用する場合は上野駅発着時に210円の加算運賃が設定されているため、東京~大宮は上野~大宮の880円い210円追加した1,090円。
上越新幹線
本庄早稲田駅は後から開業した駅のため、熊谷~高崎も「特定特急券」が適用される。
東北新幹線と同じく、東京駅を利用する場合は上野駅発着時に210円の加算運賃が設定されているため、東京~大宮は上野~大宮の880円い210円追加した1,090円。
北陸新幹線
北陸新幹線では高崎~金沢間では1駅間の区間のみ「特定特急券」が適用される。JR東日本、JR西日本のいずれもこの点では共通。
上越新幹線の区間に当たる東京~高崎間は上越新幹線と同じで、北陸新幹線だからといって特に違いはない。
全車指定席列車の特定特急券
全車指定席列車しか運転されていない区間では、自由席特急券の料金で乗れる列車がまったくなく、指定席特急券しかない状況は他と比較して乗客にとって不都合になる。
このため、座席指定券なしでも乗れるようにするための救済措置として、普通車指定席の空席に座れる特例を設けている。
この制度のためのきっぷが「特定特急券」である。
該当路線および列車
該当する列車は次の通り。
全車指定席×特定特急券の対象
- 東北新幹線:<列車名>はやぶさ、はやて <区間>盛岡~新青森
- 北海道新幹線:<列車名>はやぶさ、はやて <区間>新青森~新函館北斗
- 秋田新幹線:<列車名>こまち <区間>盛岡~秋田
料金は自由席特急券と同じ。実質的には自由席利用と似ているが、指定席の空席に座る点で異なる。
また、特定の区間の場合でしか発売していない。東北新幹線なら盛岡~新青森、北海道新幹線は全線、秋田新幹線は盛岡~秋田だが、それぞれそれ以外の区間を相互利用する場合は利用不可。
東北新幹線/北海道新幹線
東北新幹線と北海道新幹線の盛岡~新函館北斗間では全車指定席のはやぶさ号とはやて号しか運転されていない。
自由席のある列車がないことから、盛岡~新函館北斗間のみの利用に限って「特定特急券」が発売されている。
特定特急券では普通車指定席の空席に着席できる。
秋田新幹線
秋田新幹線も同じように、全車指定席列車であるこまち号しか運転がない田沢湖線・奥羽本線の在来線区間に限っては特定特急券の対象。
この区間に限った利用で発売されている。
同様に、特定特急券では普通車指定席の空席に着席できる。
区間外との相互利用は一切不可
なお、全車指定席列車での特定特急券の利用区間は、上記の区間のみに限られる。
該当エリア外を相互利用する場合は一切利用できない。この場合だと、完全に指定席特急券を購入するしかない。
例えば、東京~新青森の利用の場合、東京~盛岡間は特定特急券の区間外に当たるため、指定席特急券を購入するしかない。
東京→盛岡、盛岡→新青森のように特急券を2つに分割して購入する手段もあるが、分割するよりも通しで指定席特急券を購入する方が安くなるため、このやり方のメリットはほとんどない。
自由席特急券のような安い料金で乗れるのは、特定特急券はあくまでも決められた区間内のみなのは確か。
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乗車券 | 日付変更の可否、区間変更の可否、有効期間、途中下車の可否、往復割引 |
自由席特急券 | 有効期間、自由席特急券の変更可否(日付/区間)、指定列車について、途中下車の取り扱い |
指定席特急券 | 指定席特急券の変更可否(日付/発車時刻/区間)、乗り遅れ時の措置 |
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定期券 | 払い戻しの条件と手数料、区間変更の注意点、1日の上限、使い回しでバレる件、通勤以外の使用、通学(学校)以外の使用 |
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