特急券には「往復割引」がない! 乗車券のみの理由とは?

往復割引がない特急券

JRの特急券は「往復割引」がない。あくまでも乗車券のみに存在する制度である。速達料金という性質があることがその理由と考えられる。

新幹線や在来線特急列車に乗る際は、乗車券とは別に特急券が必要となる。運賃は二重で支払うことになる。

長距離利用の場合、乗車券だと片道601km以上では往復割引が適用される。片道当たり1割引となる。特急券は行き・帰りともに定価になる。


特急券に往復割引がない理由

JR線の特急券に往復割引がない理由としては、以下のことが考えられる。

  • 速達料金という性質
  • 長距離利用が前提
  • 路線や区間によって距離単価が違う

なお、乗車券には割引があるが特急券にはないものとして、往復割引以外に「学割」がある。学生だと専用の用紙を出してみどりの窓口で切符を購入すると乗車券が2割引になる制度である。

これもまた特急券には新幹線・在来線特急のいずれも適用されない。

>>なぜ特急券は学割が使えないのか!? 乗車券だけ2割引には理由がある

乗車券に付加価値がついた切符が特急券

特急券に往復割引がない理由

まず新幹線や在来線特急は普通列車に対して速達性を重視した列車である。必要となる特急券は速達料金という性質が強い。

付加価値のあるサービスということから、割引が限られているものと考えられる。悪い言い方をすると「贅沢料金」のような感じになるかもしれない。

>>乗車券と特急券の違いとは!? 2枚で別々な理由はここにある!

また、新幹線や在来線特急はそもそも長距離利用が前提となっている。乗車券は普通列車でも必要になる切符のため近距離利用が主流である。

しかも新幹線・特急列車は指定席が主流となっている。往復割引が仮に存在するとしても、行きの電車に乗る前に乗る時間帯を指定するのは難しい人が多い。

もし決まっているのであれば、JR+ホテルがセットになったパックの切符の方が割安になるため、往復割引を適用しても割高になる。

特急券は距離ごとに決まっているわけではない

乗車券の場合、JR各社では距離ごとに決まっている。運賃の算出方法は「幹線」と「地方交通線」の2種類に分かれるが、路線ごとに個別に距離単価が決まっているわけではない。

東京と大阪の大都市圏で設定されている電車特定区間や特定区間運賃などの例外があるが、それはあくまでも例外である。

一方の特急券の料金は、特に新幹線では路線と区間ごとに独自に設定されている。

路線・区間 距離 特急券(指定席)
東京~名古屋 366km 4,830円(のぞみ)

4,620円(ひかり)

東京~仙台 352km 5,260円(はやぶさ)

4,950円(やまびこ)

東京~富山 392km 6,250円

このように、距離はほとんど同じでも各路線ごとに特急券の料金に違いがみられる。さらに、種別ごとでも指定席特急券だと値段が違う。

自由席は路線ごとの違いだけで、のぞみ・ひかり・こだまのような種別ごとの料金の違いはない。とはいえ、路線で料金体系が違うことには変わりない。

なお、自由席と指定席そのものの違いは、以下で解説する。

>>【新幹線】指定席vs自由席! どっちが良いか違いを比較

在来線特急はA特急とB特急に分かれている。こちらも、AとBでは料金体系が違う。

これ以外にも「モバイルSuica割引」などがある。定価で販売される乗車券とは違って、距離ごとに一律に決まっているわけでないのが特急券の特徴である。

往復割引=片道乗車券2枚ではない

乗車券の往復割引の注意点

ところで、乗車券の往復割引は片道当たり10%安くなるというメリットがあるが、注意点もある。

簡単に言うと、往復割引は片道切符2枚という意味ではない。有効日数があって、経路も注意点が必要になるところがある。

往復割引の有効期間は以下になる。距離ごとに違ってくる。

  • 片道601km〜800km…10日
  • 片道801km〜1000km…12日
  • 片道1001km〜1200km…14日
  • 片道1201km〜1400km…16日
  • 片道1401km〜1600km…18日

さらに、経路の注意点として新下関駅~博多駅の特例がある。この区間は山陽新幹線はJR西日本、在来線である山陽本線・鹿児島本線はJR九州が管轄しているが、どちらかを使うかによって乗車券の値段が違う。

新幹線・在来線のどちらを使う場合でも往復割引は適用されるが、経路指定が入るため、切符の記載とは違う方の経路で鉄道を利用することができない。

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