京急本線にて遅延が多い理由を調査。気になる主要な理由には2つ挙げられる。相互直通運転・過密ダイヤなどによる内容がメイン。
10分以上の遅れや発生したり、運転見合わせになって完全にストップするケースがほぼ毎日のようにある。どうしてそんなに不安定なのか、それには明確な理由がある。
京急線は泉岳寺・品川駅から横浜駅を通って三浦半島まで走る路線である。全線に渡ってJR東海道線・横須賀線・京浜東北線のいずれかと並行する。JR東日本との競合があるのは確かだ。
しかし、電車が遅れるという出来事は日常茶飯事である。JRもよく遅延するが、京急もそれに劣らないくらいなのが印象的ではないか。
目次
京急本線の遅延の主な理由
遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
---|---|---|
過密ダイヤ | ★★★★ | 朝の2,3分間隔の過密ダイヤ |
相互直通運転 | ★★★★ | 都営浅草線・京成線の遅延の影響を受ける |
京急本線で遅延や運転見合わせの原因となるのは、上の4つが当てはまる。
朝の遅れは特に平均して2,3分間隔で走る過密ダイヤによる点が多い。
京急本線では快特・特急、エアポート急行、各駅停車が走っているが、全線に渡って複線。複々線区間がないため、ちょっとした遅れがダイヤを乱すことがある。
相互直通運転の影響もある。こちらは主に下り列車に多いが、都営浅草線・京成線で遅れが生じると京急本線内の区間でも電車が遅れる原因になる。
そのほかにも踏切や駅構内での人身事故、線路内立ち入り、緊急停止非常ボタン作動、急病人救護といった内容もある。
過密ダイヤ
京急本線の朝ラッシュの時間帯では1時間当たり27~30本の運転本数がある。2,3分間隔で電車が行き来する計算。
しかもすべて同じ列車種別の「平行ダイヤ」ではない。
運行本数が多いこと+速達列車が多くは知っていることは、過密ダイヤによる遅延の根拠にはなる。
優等列車が充実
快特、特急、エアポート急行、各駅停車の4種類の異なる停車駅を持つ列車が同一の線路を走っている。
完全に過密ダイヤで、どれか1つでも遅れる列車があると、あっという間に後続列車に遅れの影響が広がってしまう。
前を走る各駅停車に後続の優等列車が追いついてノロノロ運転になる光景はよく目立ち、この点では乗客自身でも何となく想像がつきやすい。
これは京急本線の遅延の1つ目の理由。
主要駅での乗降時間の延長
また、主要駅での停車時間の延長も遅れの要因になりやすい。
品川駅、横浜駅は特にホームの数が少ない。停車時間が1分と考えると、後続の電車が接近してしまう計算になる。
実際のところ、品川駅と横浜駅では朝ラッシュを中心に電車の渋滞が起きる。
5分以上の遅れにつながることは少ないものの、さらにドア挟まりなどによる安全確認に時間がかかれば、5~10分くらいの遅延につながる。
全列車を各駅停車にして「平行ダイヤ」にすればこの問題は解消されるのではないかと考えている人も存在するが、京急本線は距離が長いため、所要時間を考えると非現実的。
品川~横浜間ではJR線と並行して競合する関係にある点から速達性も重視されている。過密ダイヤとはいえ、快特などの列車は必要不可欠。
相互直通運転
京急本線の大半は品川駅または泉岳寺駅を起終点とする。全列車が相互直通運転を行う東急東横線などよりは影響を受けにくい。
しかし、一部の快特列車などでは都営浅草線・京成線と相互直通運転を行っている。
泉岳寺駅にて都営浅草線に入り、さらに押上駅から京成押上線、京成高砂駅からは京成本線または北総鉄道・成田スカイアクセス線へ入る。
こうした点から、都営浅草線、京成線内でのトラブルの影響もある程度受ける。
都営浅草線に起因する遅延
◎都営浅草線に起因する遅延
京成線からの直通列車の遅れ
都営浅草線に起因する遅延とは、京成線からの直通列車の遅れがほとんど。
人身事故、安全確認、線路・車両等の故障なども理由となる場合があるが、圧倒的に相互直通運転による内容が多い。
したがって、京急本線の直通先でも都営浅草線に起因する問題はそれほどないと判断可能。
京成線に起因する遅延
◎京成線に起因する遅延
- 人身事故(踏切関連)
- 安全確認
- 線路・車両設備の故障
一方の京成線では遅延が発生しやすい。
連続立体交差が京成本線ではほとんど実施されていなく、踏切が多数存在することで人身事故がまず起こりやすい。
列車通過直前横断、線路内立ち入りなどの要因もある。いずれも運転見合わせにはならないが、5~10分程度の遅れにはつながる。
特定の列車種別への混雑もあり、乗降時間の延長で直通先まで遅れる場合もよくあるパターン。
一方の北総鉄道線では全線が高架または地下区間のため遅れは発生しにくい。
なお、成田スカイアクセス線に関しては北総鉄道線と同じ。
まとめ
京急本線は首都圏の中で考えると、遅延の発生頻度は少ない。
例えば、JR東海道線、京浜東北線などでは毎日必ず電車の遅延が生じている。朝から晩まで定時運行ができている日はほとんどない。
京急本線はそうではなく、日によっては平常運転が終日できている時も少なくない。
それでも電車の遅れは度々発生する。理由の中には京急本線の欠点のために生じた部分もあるのは否定できない。
どんな原因が京急に?
- 複々線区間ゼロ
- 本数が多い、ダイヤ過密
- 枝分かれ路線が多い
- 振替輸送の対象になって乗客殺到
京急の場合、複々線区間は一切ない。首都圏の私鉄各線では珍しい。東急や小田急などの路線にはどこかに複々線となっている部分が存在するが、京急電鉄にはそのようなところがない。
快特・特急・急行などの通過駅を持つ種別と各駅停車の電車がすべて同じ線路を走っているため、先頭を走る各駅停車のダイヤが乱れると後続の優等列車は追突しないように徐行運転を余儀なくされる。
しかも、運行本数もかなり多い。日中の時間帯であっても横浜方面と都心を結ぶ快特だけで毎時6本(10分間隔)で走っている。これに急行・各駅停車も走っているため、線路容量は限界に近い状態が続く。
上下線それぞれ1本の線路ですべての列車をさばくため、ダイヤは慢性的に過密だ。各駅停車だけを走らせている地下鉄や小規模な路線とは事情が大きく異なる。
さらに、京急線は本線が1本あるだけではない。京急蒲田駅からは羽田空港へ行く空港線が分かれていく。京急本線は泉岳寺~浦賀までの路線であるが、途中の金沢八景駅から逗子線が、堀ノ内駅からは久里浜線が枝分かれしていく。
並行するJRの場合、東海道線、横須賀線、京浜東北線はそれぞれの線路がある。互いに線路を共用する部分はない。しかし京急はすべてが線路を共有する。そのため、どれかの路線で一度電車が遅れれば、京急全体に遅延が生じることになる。
JRがストップすると京急も遅れる!
そして、ほかの私鉄各線には見られない原因も京急にはある。それは、並行するJR線が運転見合わせとなって電車の運行がストップすると京急の電車も遅延するという事例だ。
JR京浜東北線などが止まると、京急での振替輸送が始まる。これにより、本来はJR線を利用するはずの乗客がやむを得ず京急を使おうとして品川駅などに殺到する。
しかし、京急単独でも利用者数は多いため、それにJRユーザーが加わることで乗降時間が混雑の影響で普段より長くなる。駅での停車時間が長引くことで、京急全体も遅れが生じる。そのため、京急線も5分、10分以上の遅延が出てしまうわけだ。
別の鉄道会社の線路と並行するのが京急であるために、振替輸送の対象になりやすい。そして、この関係が遅延の原因となっている。
その他、各路線の遅延事情について
鉄道事業者 | 路線名 |
---|---|
JR東日本 | JR中央総武緩行線、JR宇都宮線、JR高崎線、JR中央線快速、JR横須賀線、JR総武線快速、JR埼京線、JR川越線、JR東海道線、JR京浜東北線・根岸線、JR山手線、JR常磐線快速、JR武蔵野線、JR京葉線、JR横浜線、JR南武線 |
東京メトロ | 千代田線、東西線、有楽町線、半蔵門線、南北線、丸ノ内線、副都心線、日比谷線、銀座線 |
都営地下鉄 | 都営三田線、都営浅草線、都営新宿線、都営大江戸線 |
京成電鉄 | 京成本線 |
東武鉄道 | 東武伊勢崎線(スカイツリーライン)、東武東上線、東武野田線(アーバンパークライン) |
西武鉄道 | 西武池袋線、西武新宿線 |
京王電鉄 | 京王線、京王井の頭線 |
小田急電鉄 | 小田急線(小田原線・多摩線・江ノ島線) |
東急電鉄 | 東急東横線、東急目黒線、東急田園都市線、東急池上線、東急大井町線 |
京浜急行電鉄 | 京急本線 |
相模鉄道 | 相鉄本線 |
その他の私鉄 | つくばエクスプレス、東葉高速鉄道、北総鉄道、埼玉高速鉄道、東京臨海高速鉄道りんかい線 |