東京メトロ半蔵門線で遅延が多い原因は3つ。混雑による乗降時間の延長、東急田園都市線・東武スカイツリーラインとの相互直通運転、過密ダイヤが具体的な主要な理由。
毎日のように遅延する路線として有名なのが半蔵門線。朝の時間帯はいつも5~10分程度列車が遅れ、中でも渋谷側から押上方面へ向かう電車にて多発。
車両故障や信号トラブル、人身事故による運転見合わせのような完全に電車の運行がストップするほど深刻なものにはならないものの、数分は遅れることがやたらと高い頻度で生じている。
<最新の遅延情報に関しては東京メトロ公式ホームページにて。>
目次
半蔵門線の遅延の主な理由
遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
---|---|---|
慢性的な混雑 | ★★★★★ | 渋谷方面(田園都市線含む)からの混雑 |
渋谷駅の構造 | ★★★★★ | 1面2線ホームがボトルネックに |
相互直通運転 | ★★★★★ | 東急田園都市線、東武スカイツリーラインとの相互乗り入れ |
東京メトロ半蔵門線にて遅延の原因となる点として、上記3つが当てはまる。
ますは混雑の問題。東急田園都市線を含んだ渋谷方面からの電車にて混雑が集中。
人混みによってドアが閉まらない光景は毎朝のこと。渋谷駅をはじめ途中駅での停車時間の超過でダイヤが若干乱れることがよくある。
相互直通運転による影響もかなり大きい。東急田園都市線、東武スカイツリーラインと相互乗り入れを行う。どちらか一方でもダイヤの乱れが生じると半蔵門線にも遅延が出る。
そして、渋谷駅に起因する問題が半蔵門線ならではの独自の事情。定時運行のボトルネックとも言える。
慢性的な混雑
混雑が原因での遅延の詳細
- 半蔵門線:渋谷→表参道の混雑率170%前後
- 渋谷駅、表参道駅にて停車時間の超過が多発
>>半蔵門線はどれくらい混雑する!? 朝と夕方は超満員になるのか?
まずは混雑による影響。朝ラッシュの半蔵門線の遅れで最初に挙げられるのはこれ。
直接的には乗降時間の延長による停車時間の超過だが、その根本は混雑によるもの。
利用者数が多いということは、その分停車駅での乗降に長い時間がかかり、さらにドア挟まりなどが多発しやすい環境下にあることを意味する。
渋谷駅に起因する事情
東京メトロ半蔵門線の朝ラッシュの混雑率は170~180%前後で毎年推移しているが、直通先の東急田園都市線はさらにひどい。
混雑率は約190%前後に達する。首都圏でも有数の地獄の通勤ラッシュの路線として知られる。
半蔵門線の電車にて遅延が発生しやすい事情には渋谷駅の構造上の問題もある。
渋谷駅のホームは「1面2線」式。ホームが上り・下りそれぞれ1面ずつしかない。
反面、渋谷駅は都心の最初のターミナル駅でもあるため、乗車客と降車客のどちらも大量に発生する。
乗客が電車を降りる時間が長くなるだけでなく、乗り時間も相当時間がかかる。
1本の電車が停車中だと、後続の電車が入線できない構造のため、渋谷駅での乗り降りに時間を要してしまって電車の渋滞が起こる。
これによって半蔵門線へ入る電車のほぼすべてに遅れが生じる。
相互直通運転による影響
東京メトロ半蔵門線は前述のように両端部は私鉄と直結。
渋谷駅を境に東急田園都市線、押上駅を境に東武スカイツリーライン(伊勢崎線)とそれぞれ相互直通運転を行う。
前者は中央林間駅まで、後者は久喜駅・南栗橋駅まで走る。
相互直通運転によるダイヤの乱れはこれらの乗り入れ先でのトラブルが原因である場合も多い。
東急田園都市線に起因する遅延
◎東急田園都市線に起因する遅延
- 混雑の影響
- 過密ダイヤ
- 渋谷駅の構造(乗降時間に時間がかかる点)
参照:東急田園都市線で遅延が多い原因を調査! 主要な理由は3つ
東急田園都市線に起因する遅延としては、混雑による影響、過密ダイヤ、渋谷駅の構造が主流。
慢性的な混雑が典型的なパターン。朝ラッシュを中心に急行・準急への乗客の集中で乗降時間の延長で遅れやすい。
首都圏でも混雑率は200%近くの首位級。鷺沼駅、溝の口駅、二子玉川駅、三軒茶屋駅などにて電車の乗り降りに支障が出るほどの混み具合。
渋谷駅の構造にも問題があり、こちらは半蔵門線と重複する内容。
乗降客数が非常に多いにも関わらず、ホームが上下それぞれ1つずつしかないため、乗降時間が長くかかって定刻より遅れる。
こうした事情により、5~10分の遅れが東急田園都市線と半蔵門線で多く発生する。
なお、田園都市線と半蔵門線が使用する渋谷駅そのものは東急電鉄の管轄。東京メトロはあくまでも乗り入れるという形式になっている。
ただし、田園都市線は全線が地下または高架で踏切がない。人身事故や列車緊急停止による安全確認等が理由の遅れや運転見合わせは少ない。
これにより、大規模な混乱こそは少ない状態が維持されている。
東武スカイツリーラインに起因する遅延
◎東武スカイツリーラインに起因する遅延
- 踏切関連の人身事故、緊急停止・安全確認
- 特急列車の遅れ
参照:東武スカイツリーラインで遅延が多い原因を調査! 主要な理由は3つ
東武スカイツリーラインに起因する遅延とは、踏切関連の人身事故、緊急停止と安全確認が主流。
北千住~北越谷駅の複々線区間以外は地上平面を走る区間がほとんど。道路との交差部では踏切がほとんど。
自動車と列車の衝突による人身事故に加え、列車通過直前横断、線路内立ち入り、小動物との衝突などでの安全確認が遅延の原因となる。
特急列車の遅れも東武線内を走る半蔵門線直通列車に影響を及ぼす。
半蔵門線・田園都市線直通列車は途中駅にて後続の特急の通過待ちを行うことがあるが、そこで追い越していく特急が遅れることで、待避中の通勤電車が遅れる。
特急列車は最長だと鬼怒川温泉駅発着のため、より遅延が生じやすい。
ただし、頻度自体は首都圏では少ない。東武線はまだ時刻表通りの運行が定着している傾向。
そのため半蔵門線の遅延の多さの大きな理由とまではいかない。
まとめ
東京メトロ半蔵門線における遅延の事情についてまとめると以下のようになる。
もちろん、1つ1つの事例にはこれらに該当しない場合も多数ある。
それでも全体的な傾向としては混雑と相互乗り入れに
原因は田園都市線の混雑にあり
東京メトロ半蔵門線の遅延の最大の原因となっているのが、直通先である東急田園都市線の混雑である。
半蔵門線の押上方面に行く電車はすべて渋谷より神奈川県側の田園都市線からの直通列車となっている。
東急田園都市線は首都圏の中でも混雑率が高い路線である。朝ラッシュのピーク時には東西線や小田急に次ぐ乗車率を誇っている。
田園都市線内ではあまりにも激しい混雑により停車駅での乗降時間に長い時間がかかっている。
2,3分間隔で走っているとはいえ、それでも十分な輸送力を持っているとは言えないほどだ。
また、渋谷駅においても駅の構造上乗り降りに時間がかかる。
乗降者数はかなりの数にのぼるものの、駅ホームは1面2線とかなり狭い。しかも上下線それぞれ1本しか止まるところがないため、電車の相互発着も不可能。これにより、渋谷駅の構造は慢性的な遅延が起きる原因となっている。
田園都市線内の混雑度の激しさと渋谷駅での乗降時間が、その先の半蔵門線の電車の5~10分の遅延の理由となっているというわけだ。東京メトロが運転する半蔵門線内に重大な欠陥があるわけではない。
改善される見込みなし
東急田園都市線の利用状況と駅の設備に遅延の原因が存在するのは事実であるが、その問題が解消されて慢性的な電車の遅れが改善される見込みはまったくない。
東急田園都市線においては、朝ラッシュの時間帯の急行を準急に格下げして渋谷~二子玉川間をすべて各駅停車にしたことで、速達列車への乗客の集中が薄くなった。これで、大幅な電車の遅れがいくらか生じにくくなった。
しかし、渋谷駅での乗降時間の短縮化はまったく目途が立っていない。今の1面2線から2面3線化あるいは2面4線化するという計画が存在するが、工事が着工されるまでには至っていない。
田園都市線の利用者数が減らない限りは、渋谷駅ではいつまでたっても現在と同じ時間が乗り降りにかかる。
渋谷駅での停車時間が長くなれば、後続の電車が駅ホームの手前で止まってしまって渋滞が生じる。
直通する半蔵門線の慢性的な遅延を解消させるためには、東急とメトロの境界駅である渋谷駅のホームを増設するしか方法はないのは確かだろう。
その他、各路線の遅延事情について
鉄道事業者 | 路線名 |
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JR東日本 | JR中央総武緩行線、JR宇都宮線、JR高崎線、JR中央線快速、JR横須賀線、JR総武線快速、JR埼京線、JR川越線、JR東海道線、JR京浜東北線・根岸線、JR山手線、JR常磐線快速、JR武蔵野線、JR京葉線、JR横浜線、JR南武線 |
東京メトロ | 千代田線、東西線、有楽町線、半蔵門線、南北線、丸ノ内線、副都心線、日比谷線、銀座線 |
都営地下鉄 | 都営三田線、都営浅草線、都営新宿線、都営大江戸線 |
京成電鉄 | 京成本線 |
東武鉄道 | 東武伊勢崎線(スカイツリーライン)、東武東上線、東武野田線(アーバンパークライン) |
西武鉄道 | 西武池袋線、西武新宿線 |
京王電鉄 | 京王線、京王井の頭線 |
小田急電鉄 | 小田急線(小田原線・多摩線・江ノ島線) |
東急電鉄 | 東急東横線、東急目黒線、東急田園都市線、東急池上線、東急大井町線 |
京浜急行電鉄 | 京急本線 |
相模鉄道 | 相鉄本線 |
その他の私鉄 | つくばエクスプレス、東葉高速鉄道、北総鉄道、埼玉高速鉄道、東京臨海高速鉄道りんかい線 |