東武東上線で遅延が多い原因について調査。主要な要因は2つ。相互直通運転、踏切関連が挙げられる。
首都圏の中では遅延の頻度が低い方に分類。毎日のように頻繁に起こるものではない。
主要な要因とはいえ、あくまでも実際に電車に遅れが出たり、運行障害が起きた場合の事例にはとどまる。
目次
東武東上線の遅延の主な理由
遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
---|---|---|
相互直通運転 | ★★★★★ | 有楽町線、副都心線・東急東横線・みなとみらい線への乗り入れ(5社相互直通運転) |
踏切関連 | ★★★★ | 踏切内での人身事故、直前横断による緊急停止等 |
東武東上線にて遅延や運転見合わせの原因となる点として、上記2つが当てはまる。
まず挙げられるのが相互直通運転。東京メトロ有楽町線および副都心線・東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線との直通運転が主な理由。
和光市駅から上り側は有楽町線・副都心線という地下鉄に乗り入れる電車がある。下り列車では特にこれらの直通先での遅れによって東上線内でも遅れの影響が続くことがよくある。
踏切関連の内容もある。人身事故や列車緊急停止と安全確認は踏切での事故によるものが多い。
池袋~成増、志木以北は連続立体交差に乏しく、ほとんどの道路とは踏切で交差。地上の一般交通と物理的に接するところがある以上、どうしても運行障害が起こってしまう。
一方で混雑による遅れは比較的少ない。朝ラッシュでも混雑率は150%前後で首都圏で都心直結型の路線としては緩やかな方。
そんな背景もあって乗降時間の延長による遅れは少ない。
相互直通運転による影響
東武東上線は以前から東京メトロ有楽町線・副都心線と相互直通運転を実施してきた。
しかし、2013年には副都心線を介して東急東横線・みなとみらい線とも相互直通運転をスタート。以前と比べてもより遅延が起きやすくなったのは確か。
相互直通運転があることで、実質的な路線距離が増大。営業キロ数では、元町中華街~森林公園(副都心線+東横線+みなとみらい線)で88.6km、新木場~川越市(有楽町線)で47.2km。
特に副都心線系統が私鉄としては長い距離で、JRの近郊路線並みの道のり。
これにより、東武東上線では他の路線のダイヤの動向に左右されるようになった。
東武東上線と相互直通運転する各路線の遅延の事情
- 東京メトロ有楽町線(和光市~新木場)
- 東京メトロ副都心線(和光市~渋谷)
- 東急東横線(渋谷~横浜)
- 横浜高速鉄道みなとみらい線(横浜~元町中華街)
東武東上線では、特に下り列車にて直通先でのトラブルの影響を大きく受ける。
池袋駅発の電車は定刻通りに動いていても、地下鉄からの直通では遅れて到着する光景は日常茶飯事。
このほか、東武東上線とは直接乗り入れがないものの、有楽町線・副都心線が相互直通運転を実施する西武池袋線内でのトラブルの影響も受ける場合がある。
有楽町線に起因する遅延
◎有楽町線に起因する遅延
- 混雑による乗降時間の延長
- 小竹向原~和光市の副都心線との線路共有
東京メトロ副都心線に起因する遅延とは、副都心線との重複区間である小竹向原~和光市の線路共有の事情、区間内での混雑などがあげられる。
小竹向原~和光市は副都心線と同じ線路を使用する関係から、有楽町線にも遅れの影響を受けることもある。
混雑の影響もある。途中駅での乗降時間の延長によって東武東上線内にも遅れの影響が波及する場合が下り列車を中心にある。
とはいえ、それ以外には欠陥がないのも確か。
地下鉄であって、踏切が存在せず、地上の天候にも左右されにくいため、電車の遅延の直接的な原因は少ない。
一方で人身事故は少ない。全駅にホームドアが設置されているため、運行障害が起きにくい。
副都心線に起因する遅延
◎副都心線に起因する遅延
- 小竹向原~和光市の有楽町線と線路を共有
- 東急東横線の影響
小竹向原~和光市は前述と重複するが、運転系統が有楽町線と共通する部分があるため、有楽町線に遅れが生じれば副都心線も無影響にはなりにくい。
同じく地下鉄であって、踏切が存在せず、地上の天候にも左右されにくいため、電車の遅延の直接的な原因は少ない。
混雑率を見ても、東京メトロ各線の中では最下位。乗降時間の延長も少ない。
人身事故や安全確認の面でも、全駅にホームドアが設置されているため、ほかの路線と比べても運行障害が起きにくい。
その一方で、東急東横線からの電車の遅れで副都心線内でも引き続き遅れ、それが東武東上線でも続くことはよくある。
東急東横線に起因する遅延
◎東急東横線に起因する遅延
- 混雑の影響
- 過密ダイヤ
東急東横線に起因する遅延としては、混雑による影響、過密ダイヤによるものがよくある。
朝ラッシュでは横浜駅・武蔵小杉駅・自由が丘駅・中目黒駅などでの乗降時間が本来の停車時間よりも長くなりやすい。
通勤特急・急行に多くの乗客が殺到することもあって、これらの列車は停車時間が長引く傾向。
各駅停車を合わせた本数も多いことで、1駅での停車時間超過が後続の電車を遅らせることもあり、遅延が連鎖反応する原因になる。
そして、副都心線内でも遅れが取り戻せず、東武東上線内に入る時間も時刻表より遅れることがある。
5~10分の遅れではこのような事例が目立つ。
踏切関連の運行障害
踏切は運転見合わせ、大幅な遅延をもたらす典型的な原因。
東武東上線では和光市~志木間でこそは連続立体交差が進められているものの、それ以外の区間では今のところはほとんどが平面交差。小さい道路のみならず大規模な幹線道路とも踏切で交差しているところが多い。
周辺の地域にとっては「開かずの踏切」として地域の問題になっているが、鉄道を運行する側としても運行障害の頻度が上がるという欠点の根源と言わざるを得ない。
相互直通運転先の東急東横線と比較しても東武東上線は特に踏切が多数存在する。
踏切での事故等は電車が100%止まってしまう要因なのは確か。
人身事故
人身事故が起きる場所としては主要ポイント。クルマなどの一般交通と電車が衝突する可能性も高い。
踏切での事故は様々な要因の中でも「運転見合わせ」という形で大規模な運行障害になる。
一度人身事故が生じると復旧には時間を要するため、大幅にダイヤが乱れるのは回避できない。
不運による本当の「交通事故」の場合に加えて、走行中の電車への飛び込み自殺の場合がある。
東武東上線では通過列車へ飛び込んで自殺を図る場合も事例としてある。
このような行為もまた大規模なダイヤの乱れが起こる理由。
緊急停止による安全確認
列車通過直前横断、線路内立ち入りなども起こりやすい。これらが起こると電車が緊急停止する。
運転士による目視判断の結果から踏切内の障害物検知センサーが作動して自動的に急ブレーキがかかる場合の2パターンがある。
踏切には周辺の人たちが緊急時に電車を停止させる「非常ボタン」が付いているが、これが作動しなくても障害物検知センサーが反応して電車が止まる仕組みにもなっている。
運転士が危険を見て急ブレーキをかけることもある。同じく緊急停止という形で電車が止まる。
どちらにせよ、一旦非常停止すると運転再開までには5分はかかる。
このような性質のため、踏切関連の運行障害が起きやすい。
まとめ
東武東上線の遅延の理由は相互直通運転と踏切の多さである。
東京メトロ有楽町線・副都心線との相互乗り入れがあり、特に副都心線を経由して東急東横線・みなとみらい線とも1本の電車で結んでいる点がダイヤの乱れの多ねになりやすい。
他社路線、あるいは東武スカイツリーラインなどの場合、都心の始発ターミナル駅付近は高架化もしくは地下化しているところが多い。
しかし東武東上線の場合は始発駅である池袋駅から地上を走り、踏切も多数存在する。
踏切がない区間としては、和光市~志木駅にかけての短い複々線区間のみだ。そのほかの区間はほとんど地上を走り、踏切が多数存在する。
加えて、それらの踏切の間隔が短いのも東武東上線ならではの特徴だ。他の路線の場合はこれよりもある程度踏切間の間隔が長い。
踏切の数が多ければ、それだけ事故が起きる可能性が高まる。そして、踏切における人身事故が多いことが理由で、よく遅延や運転見合わせ、運休が多くなっているのである。
その他、各路線の遅延事情について
鉄道事業者 | 路線名 |
---|---|
JR東日本 | JR中央総武緩行線、JR宇都宮線、JR高崎線、JR中央線快速、JR横須賀線、JR総武線快速、JR埼京線、JR川越線、JR東海道線、JR京浜東北線・根岸線、JR山手線、JR常磐線快速、JR武蔵野線、JR京葉線、JR横浜線、JR南武線 |
東京メトロ | 千代田線、東西線、有楽町線、半蔵門線、南北線、丸ノ内線、副都心線、日比谷線、銀座線 |
都営地下鉄 | 都営三田線、都営浅草線、都営新宿線、都営大江戸線 |
京成電鉄 | 京成本線 |
東武鉄道 | 東武伊勢崎線(スカイツリーライン)、東武東上線、東武野田線(アーバンパークライン) |
西武鉄道 | 西武池袋線、西武新宿線 |
京王電鉄 | 京王線、京王井の頭線 |
小田急電鉄 | 小田急線(小田原線・多摩線・江ノ島線) |
東急電鉄 | 東急東横線、東急目黒線、東急田園都市線、東急池上線、東急大井町線 |
京浜急行電鉄 | 京急本線 |
相模鉄道 | 相鉄本線 |
その他の私鉄 | つくばエクスプレス、東葉高速鉄道、北総鉄道、埼玉高速鉄道、東京臨海高速鉄道りんかい線 |