東京メトロ副都心線で遅延が多い原因は2つ。ダイヤの不安定さの主要な理由はもうすでに確定。
相互直通運転、有楽町線との線路共有という構造がこれに該当。新規路線なのに遅れやすい背景がある。
ほぼ全線が地下区間かつホームドア完備のため、運転見合わせや運休(電車が100%完全に運行中止)になることこそは少ない。
<最新の遅延情報に関しては東京メトロ公式ホームページにて。>
目次
副都心線の遅延の主な理由
遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
---|---|---|
相互直通運転 | ★★★★★ | 東急東横線、西武池袋線、東武東上線での遅れの影響を受ける |
有楽町線との線路共有 | ★★★★★ | 小竹向原~和光市間の有楽町線と線路共有する構造 |
東京メトロ副都心線にて遅延の原因となる点として、上記3つが当てはまる。
ますは相互直通運転によるダイヤの乱れ。東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線・西武池袋線・東武東上線と相互乗り入れを行う。どこかで電車の遅延または運転見合わせが生じると副都心線にも遅延が出る。
人混みによってドアが閉まらない光景は副都心線内でこそはほぼないが、直通先では毎朝の光景。間接的に混雑の影響を受ける。
さらに小竹向原~和光市間は有楽町線とも線路を共有。本当は別々の路線である有楽町線のダイヤの乱れが副都心線に波及する場合もある。
相互直通運転による影響
東京メトロ副都心線は渋谷駅にて東急東横線、さらにその先の横浜駅から横浜高速鉄道みなとみらい線、反対側は小竹向原駅にて西武池袋線(小竹向原~練馬間は西武有楽町線)、和光市駅にて東武東上線とそれぞれ相互直通運転を実施。
副都心線は開業した2008年の時点ですでに西武池袋線、東武東上線と直通運転を実施していたが、2013年からは東急東横線・みなとみらい線とも相互直通運転をスタート。
これがきっかけで副都心線では「5社直通運転」が開始されたものの、遅延の頻発が起きるようになった。
特に深刻なのは東急東横線と西武池袋線。慢性的な混雑の度合いが大きい路線であり、さらに踏切関連の人身事故、緊急停止による安全確認等もある。
東武東上線も遅れることがあるが、こちらは混雑が緩やかなこと、直通列車が和光市乗り入れ電車の半数程度ということから、副都心線の遅延の原因にはまだなりにくい。
東急東横線に起因する遅延
◎東急東横線に起因する遅延
- 混雑の影響
- 過密ダイヤ
東急東横線に起因する遅延としては、混雑による影響、過密ダイヤによるものがよくある。
朝ラッシュでは横浜駅・武蔵小杉駅・自由が丘駅・中目黒駅などでの乗降時間が本来の停車時間よりも長くなりやすい。
各駅停車はそれほど激しい混雑ではないもののの、通過駅がある「通勤特急」「急行」に多くの乗客が殺到することもあって、これらの列車は停車時間が長引く傾向。
東横線はさらに朝の運行本数が1時間当たり22~24本あり過密ダイヤでもある。
1駅での停車時間超過が後続の電車を遅らせることもあり、遅延が連鎖反応する原因になる。
そして、副都心線内でも遅れが取り戻せず、渋谷駅から北側でも時刻表より遅れることがある。
東急東横線から副都心線へ直通する電車は全体の7割。大半が直通列車という性質も遅れが生じやすい要因の1つでもある。
西武池袋線に起因する遅延
◎西武池袋線に起因する遅延
- 慢性的な混雑
- 踏切関連の緊急停止・全確認
西武池袋線に起因する遅延とは、慢性的な混雑と踏切関連の人身事故、緊急停止・安全確認が目立つ。
同じく地上平面を走る区間がほとんどで道路との交差部では踏切が多い。
自動車と列車の衝突による人身事故に加え、列車通過直前横断、線路内立ち入り、小動物との衝突などでの安全確認が遅延の原因。
そして、西武池袋線は首都圏でも有数の混雑路線。練馬~石神井公園間は複々線が完成したものの、輸送力不足はまだまだ続いている。
石神井公園駅と練馬駅での乗降時間の延長は日常茶飯事で停車時間の超過が必ずといっていいほど起きる場所。
優等列車への集中も激しい。7時台と8時台は積み残しは発生するほどのレベル。
途中駅にて乗降時間の延長により副都心線と有楽町線直通列車も当然遅れる。
東武東上線に起因する遅延
◎東武東上線に起因する遅延
- 踏切関連の緊急停止・全確認
東武東上線に起因する遅延もまた、踏切関連の人身事故、緊急停止と安全確認が主流。
東武東上線は地上平面を走る区間がほとんど。道路との交差部では踏切がほとんど。
幹線道路では立体交差になっているが、生活道路等では踏切で交わっている。
自動車と列車の衝突による人身事故に加え、列車通過直前横断、線路内立ち入り、小動物との衝突などでの安全確認が遅延の原因。
もっとも、頻度自体は首都圏では少ない。東上線での遅れが副都心線に与える影響は比較的小さい。
有楽町線との線路共用区間
有楽町線の影響では無視できない。
特に和光市方面へ向かう電車の場合は、小竹向原~和光市間にて副都心線と有楽町線が若干遅れることがしばしば。
同一の線路を走行する都合上、有楽町線新木場方面からの電車が2,3分遅れると、その次に副都心線渋谷方面からの電車も数分遅れることがある。
例えば、副都心線の電車が定刻通りに池袋駅、要町駅、千川駅の順に停車・発車した場合でも、その前を行くはずの有楽町線の電車が途中駅での停車時間超過で遅れて小竹向原駅に到着すると、副都心線の電車が小竹向原駅に入線できない状態になる。
一部区間にて同じ運転系統になっている性質上、互いに遅延が波及し合う関係にある。
西武池袋線直通列車に関しても同じ。和光市方面のホーム、西武線ホームはそれぞれ1つずつしかないため、同時に入線することはできない。
小竹向原駅での合流の関係上、どちらかが遅れるともう片方も遅れる。
まとめ
東京メトロ副都心線の遅延が多すぎる。そんな声が多く聞こえてくるが、どうしてそれほど発生率が非常に高いのか。利用者が疑問に思っている理由について、今回は調べていこう。
開業したのは2008年ということで、都内の地下鉄路線としては一番新しい。すべての駅にはホームドアが設置され、車掌が乗務しないワンマン運転も行われている。
しかし、遅延の発生率に関してはかなり多い。半蔵門線や東西線などに匹敵するくらい電車が頻繁に遅れる。利用者にとっては、時刻表通りに電車が来ない可能性が高いということで不便を感じるのは避けられない。
特に時間がない朝のラッシュの時間帯に遅れが生じるとかなりイライラするのものだ。定時運行性に欠ける、それが東京メトロ副都心線の負の特徴といえるだろう。
直通運転が最大の原因!
副都心線の電車が遅延するといっても、その原因が地下鉄線内にあるというわけではない。
もちろん、メトロ内の信号トラブルなどで電車がストップするケースもゼロではないが、それよりも圧倒的に他社線による影響の方が多い。
遅延は乗り入れ先でのトラブルから生じるケースが全体の8割以上を占める。
東急東横線・東武東上線・西武池袋線において人身事故や信号トラブル、車両故障が発生すると、それに連動して副都心線にもダイヤの乱れが発生する。
中でも東急東横線と西武池袋線に起因する遅延が多い傾向にある。
直通先で運転見合わせが発生した場合、副都心線内での折り返し運転に切り替わる例がほとんどであるため、副都心線が完全にストップするというケースは少ない。
とはいえ、分単位で電車が来る可能性が低いのは事実。
車両の運用も難しい?
ところで、副都心線には東急(横浜高速鉄道含む)・東京メトロ・東武・西武に所属する車両が乗り入れている。
東急車とメトロ車はどの路線にも乗り入れることができる。一方、西武と東武はそれぞれ互いの線路には乗り入れられない。
つまり、東武所属の電車は西武池袋線に入ることはできず、西武所属の車両は東武東上線に乗り入れることはできないというわけだ。
ダイヤの乱れが生じた場合、所沢方面へ行く予定だった西武鉄道の車両を東武直通に切り替えることができなかったり、和光市方面へ向かう東武鉄道の車両を西武線直通へ切り替えるといった柔軟な運行ができない。
臨機応変に運行ダイヤを変えることが難しくなっているのもまた副都心線でより遅延による影響が拡大してしまう原因となっている。
その他、各路線の遅延事情について
鉄道事業者 | 路線名 |
---|---|
JR東日本 | JR中央総武緩行線、JR宇都宮線、JR高崎線、JR中央線快速、JR横須賀線、JR総武線快速、JR埼京線、JR川越線、JR東海道線、JR京浜東北線・根岸線、JR山手線、JR常磐線快速、JR武蔵野線、JR京葉線、JR横浜線、JR南武線 |
東京メトロ | 千代田線、東西線、有楽町線、半蔵門線、南北線、丸ノ内線、副都心線、日比谷線、銀座線 |
都営地下鉄 | 都営三田線、都営浅草線、都営新宿線、都営大江戸線 |
京成電鉄 | 京成本線 |
東武鉄道 | 東武伊勢崎線(スカイツリーライン)、東武東上線、東武野田線(アーバンパークライン) |
西武鉄道 | 西武池袋線、西武新宿線 |
京王電鉄 | 京王線、京王井の頭線 |
小田急電鉄 | 小田急線(小田原線・多摩線・江ノ島線) |
東急電鉄 | 東急東横線、東急目黒線、東急田園都市線、東急池上線、東急大井町線 |
京浜急行電鉄 | 京急本線 |
相模鉄道 | 相鉄本線 |
その他の私鉄 | つくばエクスプレス、東葉高速鉄道、北総鉄道、埼玉高速鉄道、東京臨海高速鉄道りんかい線 |