ダイハツ工業の平均年収は約650万円(2016年実績は651万円)。自動車メーカー、上場する製造業全体としてはやや高い金額。
基本給、ボーナス支給額は他の自動車完成車メーカーより若干低め。それでも完成車以外の製造業の中では平均よりやや上。年間平均給与ではマツダ、SUBARU、スズキの3社には勝っている。
社員個人の給料水準は職種によって異なり、大卒・院卒向けの職種(事務職・技術職・営業職・サービス技術・一般事務職)と高卒(いわゆる業務職)では異なる傾向がある。期間工など契約社員は非正規労働者のためさらに低い。
なお、ダイハツ工業は2016年にトヨタ自動車の完全子会社となったものの、給料体系は別々。基本的に「トヨタ>ダイハツ」の構造。
公式の平均年収は651万円
年度 | 平均年収金額 |
---|---|
2018年 | ー |
2017年 | ー |
2016年 | 6,511,600円 |
2015年 | 6,644,543円 |
2014年 | 6,644,752円 |
2013年 | 6,320,161円 |
2012年 | 5,908,298円 |
ダイハツ工業の平均年収は有価証券報告書にて公表されていて、2016年度では651万円という金額が出ている。
※2016年7月27日上場廃止のため2017年以降の公式の従業員の平均年間給与の発表がない。
はいずれも590~650万円の範囲で概ね推移している。
これには基本給・賞与・各種手当(時間外手当・家族手当・深夜勤務手当等)などすべてが含まれている。
夏と冬の年2回のボーナスは完成車メーカーでは若干低め(2019年は半期で2.85か月分、合計5.7か月分)。それでも製造業では高い方。(※例年も同じく半期で2.5か月、年間5.0か月が相場)
その一方で年収ベースではむしろ同業他社では低い。完成車メーカーとしては特に低い。
なお、この651万円は総合職の他、高卒などを対象とする業務職のいずれも含んだ総合値。新卒採用・中途採用の区分もなく、大卒・高卒といった最終学歴の違いもまったく加味していない。
年収データには正規雇用(正社員)のみならず、期間工などの契約社員も含まれる。逆に派遣社員は含まれない。
年収偏差値
職種 | 年収偏差値 | 概要 |
---|---|---|
事務系総合職 | 65 | 上場企業の中では平均よりやや上 |
技術系総合職 | 65 | |
高卒(業務職) | 55 | 工場勤務の手当て有りで平均以上 |
契約社員(期間工など) | 45 | 中小企業並み |
ダイハツ工業の平均年収を偏差値にすると、総合職は60、高卒は55、期間工などの契約社員は45。
総合職(大卒・院卒向けで採用された場合)は事務系・技術系いずれも大幅に給料が高い水準にある。上場企業の中でもやや上位。偏差値65がこれに当たる。
高卒に関しても大卒以上に比べると劣るものの、上場企業としては悪くはない。
期間工などの契約社員、あるいは派遣社員は低い。非正規労働者として、中小企業の正社員並みの給料水準にとどまる。
他社と比較して
軽自動車の生産を担うダイハツ工業の場合、完全に独立した完成車メーカーというわけではない。
トヨタ自動車の子会社であり、年収も親会社よりは少ない。
それでも、スズキ、マツダ、SUBARU、三菱自動車工業とは同水準。
一流企業や親会社のトヨタと比べると年収は3割ほど低いが子会社、請負工場としてはトップクラスでもらっていると思う。
引用:カイシャの評判「ダイハツ工業株式会社の年収・給与(給料)・ボーナス(賞与)」
トヨタ自動車よりは低いとのマイナスの感想もよく見かけるが、子会社としては良好という内容も存在。
ボーナス
ダイハツ工業のボーナスは基本給の5.7か月分が支給された。(2019年実績)
例年も年間で5か月分以上で推移。他の完成車メーカーと比較すると、ボーナスの水準は中間レベル。
現在の市場環境をみても、トヨタ自動車よりは劣るものの、マツダ、SUBARU、スズキ、三菱自動車には劣らない。
ただし、基本給そのものは完成車メーカーとしては低めの金額のため、賞与として受け取る金額は下がる。
総合職(大卒・院卒)
年齢 | 年収 | 月収(基本給) | 賞与 |
---|---|---|---|
20-24歳 | 400-450万円 | 25-30万円 | 75-95万円 |
25-29歳 | 450-700万円 | 30-40万円 | 100-120万円 |
30-34歳 | 600-800万円 | 40-55万円 | 150-200万円 |
35-39歳 | 700-900万円 | 45-55万円 | 150-200万円 |
40-44歳 | 700-1,000万円 | 45-60万円 | 200-250万円 |
45-49歳 | 800-1,200万円 | 55-80万円 | 200-300万円 |
50-54歳 | 800-1,200万円 | 55-80万円 | 200-300万円 |
55-59歳 | 800-1,200万円 | 50-70万円 | 150-200万円 |
上記は大卒・院卒向けの職種の年齢ごとの推定年収の目安。全体では700~800万円と推定。
一般的に「総合職」に該当する職種だが、ダイハツ工業の中でも最も給料体系が高い職種。他のトヨタグループと同水準。
元々の基本給が高いこと、昇進のスピードも速いことから、年収も高い水準で推移。勤続年数も長い人が多く、中途採用が多い企業よりも基本給が高くなりやすい。
昇給のシステムはどちらかというと成果型というより年功序列型。
事務系
事務系総合職では主に以下の仕事内容が挙げられる。
- 海外企画…海外での施策担当
- 国内企画…国内販売計画の立案・推進
- 商品企画…新商品の立案
- 生産管理…生産全体を管理
- 管理部門…法務、経理、人事など
主に文系を対象とするのが事務系。
事務職は営業と管理部門(総務など)を対象とした職種。営業職は国内を対象とする職種。
いずれも年収に関しては、仕事内容ごとの違いはほとんどない。
20代のうちは年収が400~700万円、30代は600~900万円、40代は700~1,200万円、50代は800~1,200万円が相場。
40歳辺りになると、特に管理職で1,000万円級になる社員が出てくる。逆に役無しだと700万円前後にとどまりやすい。
年齢が上がると範囲が大きくなるのは、各個人の役職やスキル、勤続年数による違いが大きくなるため。それでも全体では上記の範囲が1つの目安になるだろう。
技術系
技術系総合職では主に以下の仕事内容が挙げられる。
- 開発・設計…ボデー・シャシー・エンジン・制御システムなどの開発、設計
- 先端技術開発…次世代のパワーユニットなどの研究・開発、電動車両・HV車両・コネクティッドカーの開発、自動運転技術の開発
- 生産技術、生産技術開発…実際にクルマを製造する過程を担当
理系の学部学科を出ている人を対象とする技術職においても年収は仕事内容ごとの違いはほとんどない。
20代のうちは年収が400~700万円台。30代で早くも年収600万円以上になってくる人が主流派で、600~900万円の範囲になる。
40代は700~1,200万円、50代は800~1,200万円と、こちらも同じ。役無しの社員でも700万円は濃厚。
50代はやや下がる人も出てくるが、それでも大卒・院卒なら年収800万円以上にはなる推定。
勤務条件や最終学歴は事務系統と同じなため、給料体系もほとんど同じ。同様に各個人の役職やスキル、勤続年数によって違いが見られるが、全体像としてはこのような金額。
平均年収は同年代の中では高い水準に達する。大手企業の技術職と比較しても良好な水準。
高卒・高専卒職種
年齢 | 年収 | 月収(基本給) | 賞与 |
---|---|---|---|
20-24歳 | 300-400万円 | 25-30万円 | 75-95万円 |
25-29歳 | 400-500万円 | 35-40万円 | 100-120万円 |
30-34歳 | 550-650万円 | 40-45万円 | 120-150万円 |
35-39歳 | 550-700万円 | 45-50万円 | 120-170万円 |
40-44歳 | 600-750万円 | 45-55万円 | 150-200万円 |
45-49歳 | 700-800万円 | 50-60万円 | 150-200万円 |
50-54歳 | 700-900万円 | 50-60万円 | 150-200万円 |
55-59歳 | 750-850万円 | 45-55万円 | 120-200万円 |
高卒向けの採用での年齢別年収の目安は上記の通り。全体では500~600万円と推定。
総合職との違いは基本的に現場系の仕事内容が多い点。昇進のスピードは比較すると遅い。ゆえに同じ正社員という形でも平均年収は低め。
それでも、世の中全体としては決して低い給料水準ではなく、大手企業としても「並み」かそれ以上なのは確か。
工場勤務では深夜勤務や早朝勤務があると、給料は手当分で巷の企業よりは高くなる。
手当を考慮しない場合、20代で300~500万円、30代で550~700万円、40代・50代で600~900万円台が目安。
契約社員(期間工など)
年齢 | 年収 | 月収(基本給) | 賞与 |
---|---|---|---|
20-24歳 | 200-350万円 | 15-20万円 | ー |
25-29歳 | 250-400万円 | 15-25万円 | ー |
30-34歳 | 300-400万円 | 20-25万円 | ー |
35-39歳 | 350-450万円 | 20-30万円 | ー |
40-44歳 | 400-500万円 | 25-35万円 | ー |
45-49歳 | 400-500万円 | 25-35万円 | ー |
50-54歳 | 400-500万円 | 25-35万円 | ー |
55-59歳 | 400-500万円 | 25-35万円 | ー |
非正規労働者に当たる期間工などの契約社員の年齢別年収の目安は上記の通り。全体の平均年間給与は300~350万円程度と推定。
20代で200~400万円。ここはまだ世間一般の正社員との給料の差は比較的小さい。
30代になると300~450万円が主力。徐々に正社員との差が拡大。40代、50代は400~500万円。
30代後半くらいからは社会の中でも低所得者に該当してくる。中小企業の正社員よりも低い水準。
契約社員にはボーナスはまったく支給されない。あくまでも正社員にのみ支給される手当。
収入の目安は基本的に中小企業の平均的な正社員に近いが、特に年齢が上がるほど給料の安さが表立つ。深夜勤務や早朝勤務などがあっても低いのが現実。
最終学歴ごとの年収の差
ダイハツ工業では、事務職・技術職は院卒・大卒(学部卒)・高専卒を採用。
初任給は最終学歴によって差が見られる。
ダイハツ工業の初任給
2018年度入社者 初任給実績(月給)
博士了 251,000円
修士了 230,000円
学部卒 208,500円
高専・短大・専門卒 180,500円
出典:リクナビ2021
最終学歴よりもこれらの要素によって給料水準が高い人と低い人が出る。
もっとも、全体的には年収水準は「大卒・院卒>高専卒>高卒」の構造。
新卒採用者のコメントとして、以下の内容があったので取り上げたい。
年収については、特に若年層、新人には生活が苦しくなることも少なくなく、だからといって中間管理職、管理職についてもトヨタ(親会社)とは大きな差があることは間違いないです。賞与は年2回に分けて給与の5.◯ヶ月程度で、業績や社会の情勢とはあまり関係なく、労働組合と会社のほとんど談合のような話し合いで決まっているため安定はしていますが急に業績が良くなったからと言って大きく増えることも無いと思います。自動車業界の中でも下から数えた方が早いので給与、賞与についてはあまり期待しない方がいいです。
給与の満足できている点と理由。設計で歳分くらい額面でもらえます。手取りは26歳で18万、34歳で24万くらいでした。なので残業しないとボーナスを生活費にあてる感じになります。景気がよければ残業できるので、ボーナス丸々貯金箱すれば10年で1000万たまります。
引用:カイシャの評判「ダイハツ工業株式会社の年収・給与(給料)・ボーナス(賞与)」
親会社のトヨタ自動車と比較すると悲観する内容な一方、基本給の手取りが20代後半で18万円、30代半ばで24万円は世間一般で見ると低い金額ではない。
ボーナスを加算すると年収では上場企業の平均値(例年600万円前後)よりは上に入るのも事実ではある。
業種 | 会社名 |
---|---|
完成車メーカー | トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、マツダ、SUBARU、スズキ、ダイハツ工業、いすゞ自動車、三菱自動車工業、三菱ふそうトラック・バス、UDトラックス、日野自動車 |
トヨタ関連 | トヨタ車体、豊田自動織機、トヨタ紡織、豊田合成、豊田鉄工、デンソー、ジェイテクト、アイシン精機、愛知製鋼、大豊工業、シロキ工業、愛三工業、曙ブレーキ工業、アイシンAW、トヨタ自動車東日本、トヨタ自動車九州、ヤマハ発動機 |
日産関連 | 日産車体、ヨロズ、河西工業、マレリ(旧カルソニックカンセイ)、ユニプレス、タチエス |
ホンダ関連 | ユタカ技研、ショーワ、八千代工業、ジーテクト、ケーヒン、日信工業、エイチワン、テイ・エステック、ミツバ、武蔵精密工業 |
関連メーカー(独立系) | ユニバンス、ダイキョーニシカワ、デルタ工業、大同メタル工業、日本発条、日本特殊陶業、NTN、小糸製作所、エクセディ、スタンレー電気、市光工業、東プレ、プレス工業、三井ハイテック |
タイヤメーカー | TOYO TIRE |
その他の製造業 | |
業界全体 | 「<早見表>自動車業界の平均年収を各社ごとに一覧化」 |
ボーナス | <一覧表>自動車メーカーのボーナスの支給額の実績 |
上記では自動車業界およびそれに関連する企業の年収および給料水準の目安について解説。