横浜線(東神奈川~八王子)において遅延の発生原因について、よくある事例を調査。
気になる主要な理由には3つ挙げられる。踏切関連の人身事故・駅構内の列車緊急停止ボタンの作動と安全確認などによる支障がその内容。
ただし、首都圏の中では遅延が少ない方で頻度が低い。何らかの形で電車のダイヤが乱れることはよくあるが、毎日起こるほどの多さではない。
<最新の遅延情報(JR東日本公式ホームページ)>
目次
横浜線の遅延の主な理由
遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
---|---|---|
安全確認 | ★★★★ | 駅の列車緊急停止ボタンの作動など |
人身事故 | ★★★★ | 踏切などでの人身事故 |
JR横浜線で遅延が発生することは少ない。原因として人身事故やちょっとしたトラブルの安全確認が少なくない。
JR東日本が管轄する首都圏の路線では、横浜線よりも高頻度で遅延が発生する例はいくつもある。埼京線や上野東京ライン、湘南新宿ラインではほぼ毎日のように起こっている。運転見合わせになることもかなり多い。
それに比べると、横浜線は比較的平常運転が保たれていることが多いと思える。
横浜線は他の多くの路線のように他路線への乗り入れ(相互直通運転)が少ない。JR根岸線の桜木町駅などで一部が直通している程度である。
1つの列車が走る区間の大部分は横浜線単独の東神奈川~八王子間である。外部の影響をあまり受けないのは確か。
緊急停止ボタンによる安全確認
駅構内の列車緊急停止ボタン(非常ボタン)の作動も遅延の原因になる。
何も事故等が起こらなくても安全確認を行うなどで5分以上の遅れが生じるが、これは横浜線でもよくある事例。
荷物の一部がドアに挟まったまま電車が動き出して緊急停止した場合などがよくあるパターン。
また、ドアが開く際に乗客の衣服や荷物が詰まったというケースもある。
いずれにせよ、運転再開までには5分くらいはかかることがほとんど。後続の電車にも遅れが出てしまいやすい。
踏切の存在
横浜線は全体を通して平面を走る区間が多い一方、全線が都市部を走る。
そのため踏切の数がかなり多い。
踏切の数が多いと、まず人身事故が起こりやすい。踏切内で列車と自動車・歩行者の衝突はその具体的な内容。
朝ラッシュの時間帯になると電車の往来もかなり多いため、列車通過直前の無謀な横断が後を絶たない。
人身事故には至らなくても、直前横断があると電車は急停車する。これによって遅れへとつながる。
直前横断によって何か起きるかというと、踏切内の障害物検知センサーが反応して電車が緊急停止する。異常なしであることの確認には最低5分程度はかかる。
運転士が司令部へ報告したり、非常ブレーキの解除作業を行うことに時間を要するためだ。
ここでも横浜線の電車に遅延が生じる原因となる。
それほど影響はしていない要因
遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
---|---|---|
設備故障 | ★★ | 車両、線路、信号、電気系統などの故障。頻度は前述の内容ほどではない。 |
営業キロ数 | ★ | 路線の営業キロ数が短いため、その分支障が出にくい。 |
悪天候 | ★ | 防風柵の設置により強風による遅延・運転見合わせが減少。 |
相互直通運転 | ★ | 京浜東北線・根岸線への直通運転があるが、距離がかなり短い。 |
横浜線にて遅延の原因として認識されやすい内容として上記の内容もある。
ただし、これはあくまでもイメージ上の内容。実際には頻度が低く、遅延の原因として占める割合は相当低い。
設備故障
車両故障、ポイント動作不良・レール破断・架線支障・信号トラブル・電気系統トラブルなどの設備故障も電車が運転見合わせになる原因。
横浜線でも運行情報にて「○○故障により運転見合わせ」などの文字が出ることがある。
しかし、それでも頻度的に考えるとそう多くはない。
どんなに多く見積もっても、1週間に1回程度には収まる。
これよりも踏切での人身事故、安全確認などの理由が目立つ。
営業キロ数
路線距離が長い場合、途中で何かのトラブルが発生する確率が高くなる。
架線支障、ポイント動作不良、信号トラブルなどの設備の故障が距離が短い路線よりはリスクが高い。
横浜線の東神奈川~八王子間は営業キロ数はわずか42.6 kmと短い。京浜東北線・根岸線の東神奈川~桜木町の区間を足しても46.4km。
首都圏のJR線の中では短い路線で、遅延が多くなる理由にはならない。
相互直通運転がほとんどない
首都圏の多くのJR・私鉄では他の路線と相互直通運転を行っている。
乗客にとっては乗り換えなしで別路線へと行けるため利便性が高いというメリットがある。
その反面、直通先のダイヤの乱れの影響も受けてしまうというデメリットがある。
横浜線でも東神奈川駅から京浜東北線・根岸線へ乗り入れる電車が多い。
これによって直接的横浜線内でトラブルがなくても、乗り入れ先での電車の遅れが波及してしまう。
ただ、東神奈川~桜木町の区間は3.8kmしかない。
相互直通運転を行っているとはいえ、線外の部分は数キロに限定。遅延が増える原因となるほどではない。
まとめ|それでも遅延が起こりやすいのは?
それでも横浜線の現状を見ると、遅延が生じることは多い。直接の原因といえば、人身事故、信号システム、車両の故障、悪天候がほとんどである。
このうち、車両のトラブルは以前と比べると現在では減少したようだ。かつては国鉄時代に製造された205系が主流であった。旧式で作られてから長い年月が経過していたこともあって、トラブルが起きることは多かった。
2014年からは新型車両のE233系に置き換えられた。故障が起きる頻度は205系よりも少なくなった。定時運行に貢献しているのは間違いない。
一方、人身事故や信号トラブルは変わっていない。人身事故は駅ホームからの転落や踏切内での衝突事故が挙げられる。
横浜線では特に踏切内での事故が多い。踏切では、自動車との接触・衝突事故も多いが、さらに自殺のために飛び込む人もいる。高架や地下を走りところではほぼあり得ない出来事である。
横浜線は大半の区間で地上を走る。そのため、道路との交点では踏切となっている箇所が少なくない。立体化されているのは幹線道路との交点くらいである。
そんな特徴から、人災によって横浜線の電車が遅れることが多いといえる。
人身事故は今後も減らない?
JR横浜線では、相模原市内の矢部駅~橋本駅間の約3.7kmの区間で連続立体交差事業が行われる予定となっている。線路が高架化または地下化される。
これが完成すれば、横浜線では今よりは人身事故による遅延の発生頻度が下がる可能性が大きい。
しかし、現時点では工事が行われる見込みは立っていない。すなわち、完成する時期も未定であり、少なくとも2030年以降のことになると考えられる。
さらに、これができても依然として大部分は地上を走る。踏切が複数残ることは間違いないため、運転見合わせや遅延の原因となる要素はあまり減らない。
これからも、引き続きJR横浜線において遅延が生じる頻度を劇的に減るのは難しいのが現状である。
その他、各路線の遅延事情について
鉄道事業者 | 路線名 |
---|---|
JR東日本 | JR中央総武緩行線、JR宇都宮線、JR高崎線、JR中央線快速、JR横須賀線、JR総武線快速、JR埼京線、JR川越線、JR東海道線、JR京浜東北線・根岸線、JR山手線、JR常磐線快速、JR武蔵野線、JR京葉線、JR横浜線、JR南武線 |
東京メトロ | 千代田線、東西線、有楽町線、半蔵門線、南北線、丸ノ内線、副都心線、日比谷線、銀座線 |
都営地下鉄 | 都営三田線、都営浅草線、都営新宿線、都営大江戸線 |
京成電鉄 | 京成本線 |
東武鉄道 | 東武伊勢崎線(スカイツリーライン)、東武東上線、東武野田線(アーバンパークライン) |
西武鉄道 | 西武池袋線、西武新宿線 |
京王電鉄 | 京王線、京王井の頭線 |
小田急電鉄 | 小田急線(小田原線・多摩線・江ノ島線) |
東急電鉄 | 東急東横線、東急目黒線、東急田園都市線、東急池上線、東急大井町線 |
京浜急行電鉄 | 京急本線 |
相模鉄道 | 相鉄本線 |
その他の私鉄 | つくばエクスプレス、東葉高速鉄道、北総鉄道、埼玉高速鉄道、東京臨海高速鉄道りんかい線 |