京成線(本線・押上線)にて遅延が多い理由を調査。気になる主要な理由には3つ挙げられる。相互直通運転・踏切関連などによる内容がメイン。
10分以上の遅れや発生したり、運転見合わせになって完全にストップするケースはよくある話。
一方でJR線を含めた首都圏の中では京成本線・押上線ともに遅延の頻度はやや少ない方に入る。毎日必ずダイヤの乱れが生じるほどのレベルではない。
とはいえ、まだまだ遅れてしまいやすい理由は存在。
<最新の遅延情報に関しては京成電鉄公式ホームページにて。>
目次
京成線の遅延の主な理由
遅延の原因 | 頻度 | 詳細な内容 |
---|---|---|
相互直通運転 | ★★★★ | 都営浅草線・京浜急行線の遅延の影響を受ける |
踏切関連 | ★★★★ | 踏切での人身事故、緊急停止と安全確認等 |
京成線で遅延や運転見合わせの原因となるのは、上の2つが当てはまる。
まずは相互直通運転の影響。こちらは主に下り列車に多い。都営浅草線・京急本線からの直通列車で遅れが生じると京成線内の区間でも電車が遅れる原因になる。
直通先では混雑の影響や乗降時間の延長による遅れが目立つ。
一方の上り列車も北総鉄道、成田スカイアクセス線からの直通列車もあるが、こちらは遅れる頻度は低いため、京成線の遅延の理由となるのは稀。
もう1つの内容は、踏切や駅構内での人身事故、線路内立ち入りや直前横断による緊急停止非常ボタン作動と安全確認によるものが目立つ。
上記以外でも小規模な遅れとしては混雑による遅れがある。
>>京成本線の朝ラッシュの混雑状況を時間帯・区間ごとに調査!
優等列車への乗客の集中によって乗り降りに時間がかかり、数分遅れることは混雑率が比較的緩やかな京成本線でもあり得る。
相互直通運転
京成電鉄では特に京成押上線を走る電車にて相互直通運転を実施。押上駅からはほとんどの電車が都営浅草線に入る。さらに、その先の泉岳寺駅からは京急本線(京浜急行)へ入る電車もある。
成田空港と羽田空港を結ぶ直通列車が運転されていることもあって、これらの路線では互いにダイヤの乱れが影響し合う関係となっている。
したがって、京成線内では都営浅草線、京急本線内でのトラブルの影響もある程度受けてしまう。
特に都営浅草線において遅延が発生すれば、京成押上線も遅れ、さらに京成本線でも一部列車に遅れが生じる。
都営浅草線に起因する遅延
◎都営浅草線に起因する遅延
- 京急本線での遅れ
- 人身事故、安全確認等
都営浅草線に起因する遅延とは、押上方面行の電車は京急線からの直通列車の遅れがほとんど。
地下鉄内での人身事故、安全確認、線路・車両等の故障なども理由となる場合があるが、圧倒的に相互直通運転による内容が多い。
ただし、小規模な遅れに限って言えば都営浅草線での乗降時間の超過による停車時間の延長による内容は少なくない。
1駅くらいなら特に問題にはならないが、複数の駅にて乗降時間が長くなると京成線に入るまでに数分の遅れにまで拡大してしまう。
京急本線に起因する遅延
◎京浜急行線に起因する遅延
- 過密ダイヤ
- 人身事故(踏切関連)
京急本線での遅延の原因は過密ダイヤと人身事故・安全確認等があげられる。
特に過密ダイヤによる遅れが目立つ。朝平均して2,3分間隔で走る過密ダイヤによる点が多い。
快特・特急、エアポート急行、各駅停車が走っているが、全線に渡って複線(複々線区間がない)のため、1本でも遅れる電車があると後続にまで遅れが連鎖する。
そして、都営浅草線線・京成線直通の電車にもその遅れの影響が波及し、京成線内でも「遅延」という形になる。
なお、人身事故や緊急停止による安全確認は京成線と比べると少ない印象。
踏切関連の運行障害
踏切といえば「開かずの踏切」のように線路を挟んで地域を分断する特徴が地域的な問題になっている。
しかし鉄道の運行に支障が出る存在でもある。運転見合わせ、大幅な遅延をもたらすところが踏切。
京成本線は特に全線の大部分が平面交差。
小さい道路のみならず大規模な幹線道路とも踏切で交差しているところが多い。
踏切の存在による事故等は、電車が100%止まってしまう要因になるのは確か。
人身事故
人身事故が起きる場所としては主要ポイント。クルマなどの一般交通と電車が衝突する可能性も高い。歩行者が列車に引かれるという事故もよくある。
踏切での事故は様々な要因の中でも「運転見合わせ」という形で大規模な運行障害になる。
一度人身事故が生じると復旧には時間を要するため、大幅にダイヤが乱れるのは回避できない。
不運による本当の「交通事故」の場合に加えて、走行中の電車への飛び込み自殺の場合がある。
飛び込み自殺は駅構内と比べると踏切での事例は少ないものの、それでも踏切でもこのような行為がないわけではない。
いずれにせよ旅客案内上は「人身事故のため運転見合わせ」となるが、運転再開までには数時間は要する。
緊急停止による安全確認
列車通過直前横断、線路内立ち入りなども起こりやすい。これらが起こると電車が緊急停止する。
運転士による目視判断の結果から踏切内の障害物検知センサーが作動して自動的に急ブレーキがかかる場合の2パターンがある。
踏切には周辺の人たちが緊急時に電車を停止させる「非常ボタン」が付いているが、これが作動しなくても障害物検知センサーが反応して電車が止まる仕組みにもなっている。
運転士が危険を見て急ブレーキをかけることもある。同じく緊急停止という形で電車が止まる。
どちらにせよ、一旦非常停止すると運転再開までには5分はかかる。
京成本線では路線距離も結構長いこともあり、踏切関連の運行障害が起きやすい。
まとめ~逆になぜ遅れにくいのか?
京成本線が遅延が発生しにくい理由としては3つある。
- 相互直通運転がない
- スピードが遅い
- 平地を走るため天候に左右されにくい
まず、京成本線の電車は地下鉄とは相互直通運転を行っていない。京成上野駅は完全な終点であり、都心側に線路はまったく伸びていない。一部北総線へ乗り入れている列車もあるが、北総線自体は本数が少ないうえ、京成グループの会社であるため運賃が高いことを除いてはほとんど自社と同じである。
他の私鉄の場合、大抵は地下鉄に乗り入れている。確かに他社乗り入れは乗客にとっては乗り換えの手間がすくなくなるため便利であるが、定時運行の面ではかなりデメリットがある。
地下鉄線内で遅れが生じると、何の問題もない郊外へ延びる私鉄の路線内にもその影響が出て全体的な遅延が発生してしまう。そうしたリスクがないのが京成ならではの特徴といえる。
また、京成本線はカーブが非常に多い。JR総武線がほとんど直線であるのに対して、京成の線路は曲線ばかりでくねくねしている。
制限速度がかかるカーブが多いということで、走る電車はあまりスピードを出せない。そのため、高速走行によるトラブルが生じにくい。踏切が多いのは確かであるが、それでもスピードが遅めのため衝突することはそれほどの頻度で発生しない。
また通過列車を狙ってホームから飛び降りて自殺する人も少ないことから、人身事故も少ない。これもまた電車がストップしにくい要因である。
さらに、京成本線は内陸部の平地を走っている。海岸沿いを走るJR京葉線では強風の影響で頻繁に運転見合わせになるが、京成は風の影響は受けにくい。山間部を走る区間もほぼゼロなため、土砂崩れなどの危険性もない。
しかも徐行運転を余儀なくされた時でも、もともとが大して速くはないため、あまりダイヤに悪影響を及ぼすことがない。これもまた遅延の規模が小さく抑えられる理由といえるだろう。
その他、各路線の遅延事情について
鉄道事業者 | 路線名 |
---|---|
JR東日本 | JR中央総武緩行線、JR宇都宮線、JR高崎線、JR中央線快速、JR横須賀線、JR総武線快速、JR埼京線、JR川越線、JR東海道線、JR京浜東北線・根岸線、JR山手線、JR常磐線快速、JR武蔵野線、JR京葉線、JR横浜線、JR南武線 |
東京メトロ | 千代田線、東西線、有楽町線、半蔵門線、南北線、丸ノ内線、副都心線、日比谷線、銀座線 |
都営地下鉄 | 都営三田線、都営浅草線、都営新宿線、都営大江戸線 |
京成電鉄 | 京成本線 |
東武鉄道 | 東武伊勢崎線(スカイツリーライン)、東武東上線、東武野田線(アーバンパークライン) |
西武鉄道 | 西武池袋線、西武新宿線 |
京王電鉄 | 京王線、京王井の頭線 |
小田急電鉄 | 小田急線(小田原線・多摩線・江ノ島線) |
東急電鉄 | 東急東横線、東急目黒線、東急田園都市線、東急池上線、東急大井町線 |
京浜急行電鉄 | 京急本線 |
相模鉄道 | 相鉄本線 |
その他の私鉄 | つくばエクスプレス、東葉高速鉄道、北総鉄道、埼玉高速鉄道、東京臨海高速鉄道りんかい線 |