第三セクターの鉄道会社の平均年収は概ね350万円が相場。基本的には赤字の事業者が多いこともあって、世間一般の企業と比べると低い水準。
元国鉄でJR民営化の際に赤字のために経営分離されたところが多く、旅客収入が少なくて経営難に陥っていることが給料水準が安い最大の理由。
ただし、実際には200万円辺りから500万円台まで様々。
主な第三セクター鉄道会社の平均年収
| 鉄道会社 | 年収 | ボーナス(年間) |
|---|---|---|
| 北越急行 | 563万円 | 5.2か月 |
| 愛知環状鉄道 | 542万円 | 4.3か月 |
| えちごトキめき鉄道 | 513万円 | 1.4か月 |
| IRいしかわ鉄道 | 513万円 | 4.5か月 |
| 智頭急行 | 475万円 | 4.6か月 |
| 富山ライトレール | 466万円 | 3.9か月 |
| 阿佐海岸鉄道 | 437万円 | 1.2か月 |
| 万葉線 | 432万円 | 3.3か月 |
| 青い森鉄道 | 400万円 | 1.5か月 |
| 野岩鉄道 | 395万円 | 2.7か月 |
| 天竜浜名湖鉄道 | 395万円 | 2.5か月 |
| 由利高原鉄道 | 393万円 | 0.5か月 |
| 信楽高原鉄道 | 378万円 | 4.0か月 |
| 伊勢鉄道 | 374万円 | 4.6か月 |
| しなの鉄道 | 372万円 | 3.8か月 |
| 土佐くろしお鉄道 | 372万円 | 1.8か月 |
| のと鉄道 | 371万円 | 3.5か月 |
| 井原鉄道 | 361万円 | 2.7か月 |
| 三陸鉄道 | 360万円 | 0.0か月 |
| 長良川鉄道 | 354万円 | 1.5か月 |
| 若桜鉄道 | 351万円 | 0.0か月 |
| 阿武隈急行 | 347万円 | 1.5か月 |
| 会津鉄道 | 342万円 | 1.4か月 |
| あいの風とやま鉄道 | 327万円 | 2.6か月 |
| 北近畿タンゴ鉄道 | 327万円 | 1.9か月 |
| ひたちなか海浜鉄道 | 323万円 | 0.3か月 |
| 平成筑豊鉄道 | 322万円 | 3.1か月 |
| 錦川鉄道 | 322万円 | 0.2か月 |
| 甘木鉄道 | 321万円 | 2.4か月 |
| 樽見鉄道 | 319万円 | 1.5か月 |
| 松浦鉄道 | 314万円 | 2.7か月 |
| わたらせ渓谷鉄道 | 314万円 | 1.8か月 |
| 北条鉄道 | 306万円 | 3.2か月 |
| えちぜん鉄道 | 302万円 | 1.4か月 |
| IGRいわて銀河鉄道 | 298万円 | 2.5か月 |
| 明知鉄道 | 298万円 | 2.4か月 |
| 真岡鐵道 | 282万円 | 5.1か月 |
| 山形鉄道 | 282万円 | 1.6か月 |
| 秋田内陸縦貫鉄道 | 280万円 | 0.0か月 |
| 鹿島臨海鉄道 | 274万円 | 2.9か月 |
| いすみ鉄道 | 264万円 | 1.6か月 |
| 南阿蘇鉄道 | 251万円 | 1.3か月 |
| 肥薩おれんじ鉄道 | 242万円 | 0.0か月 |
| くま川鉄道 | 236万円 | 1.8か月 |
出典:東洋経済「鉄道事業を営む206社の平均年収ランキング」
上記の表は第三セクター鉄道会社の各社の2014年度の平均年収を示したもの。
注意点
上記は2014年のデータのため、現在はやや事情が異なる会社がある。
特に北越急行。2015年の北陸新幹線の開業によってJR直通の特急列車(はくたか号)が廃止。
普通列車のみの運転となったことで旅客収入が大幅に減少。
具体的には2014年度の約38億8000万円だったところ、2015年度には約4億1000万円までに減少し、黒字から赤字へ転落した。
今もこの状態が続いている。
年収の傾向
黒字なら500万円前後
第三セクターの鉄道会社でも黒字の事業者では平均年収が500万円前後。
具体的には、以下が該当。
- 北越急行(以前はJR特急が運転)
- IRいしかわ鉄道
- 愛知環状鉄道
- 智頭急行(JR特急が運転)
いずれもJR線からの特急列車が運転されているか、大都市圏の通勤路線という性質がある会社。
IRいしかわ鉄道
IRいしかわ鉄道は北陸新幹線の開業でJR北陸本線が並行在来線として経営分離された会社。
北陸地方最大都市の金沢都市圏をカバーすることで辛うじて黒字経営。
平均年収も513万円で、第三セクターの鉄道会社としては高い。
愛知環状鉄道
愛知環状鉄道はトヨタ自動車本社のある愛知県豊田市をはじめ、岡崎市、瀬戸市などを通る。
朝夕はトヨタ自動車関連の従業員の通勤手段として利用され、大都市並みの超満員電車になる。
名古屋都市圏としても通勤路線という性質から、営業係数も黒字。
運転本数も1時間当たり4本は運転されている。こうしたことから年収も第三セクターとしては高い。
智頭急行
智頭急行は大阪と鳥取を結ぶ特急スーパーはくと号が走る第三セクター路線。
京都・大阪~鳥取・倉吉までが運転区間で、そのうちの上郡~智頭間がJR西日本ではなく智頭急行に該当。
特急列車が黒字ということもあって、会社自体も辛うじて黒字経営。
その分、平均年収も475万円として、第三セクターの鉄道会社としては高い方。
赤字でも年収には差が
一方で第三セクターの鉄道会社の大半は赤字経営。
しかし、平均年収は各社によって様々。赤字状態でも一般的な大企業並みのところも存在。
えちごトキめき鉄道は大赤字の第三セクターだが、JRから経営分離されて間もないこともあって年収水準は高め。
その一方で、平均年収が300万円を下回る会社も存在する。
IGRいわて銀河鉄道、明知鉄道、真岡鐵道、山形鉄道、秋田内陸縦貫鉄道、鹿島臨海鉄道、いすみ鉄道、南阿蘇鉄道、肥薩おれんじ鉄道、くま川鉄道が該当。
第三セクター鉄道は中小企業と同レベル
以下の2つの表は厚生労働省の「平成29年賃金構造基本統計調査の概況」で公表されている、会社規模別の平均年収を示したもの。
| 平均賃金 | 平均年収 | |
|---|---|---|
| 男性 | 31.8万円 | 381.6万円 |
| 女性 | 24.1万円 | 289.2万円 |
| 全体 | ― | 335.4万円 |
上記は「中企業」に該当する企業の平均年収。
| 平均賃金 | 平均年収 | |
|---|---|---|
| 男性 | 約29.3万円 | 約351.6万円 |
| 女性 | 約22.3万円 | 約267.6万円 |
| 全体 | ― | 約309.6万円 |
上記は「小企業」に該当する企業の平均年収。
第三セクター鉄道の平均年収は200~400万円のところが多いことから、年収は一般的な中小企業と同じくらいの給料水準なのがわかる。
ボーナスも年間で基本給の0~3か月分と、大手企業に比べると低い水準。
| 分類 | 会社名 |
|---|---|
| JR | JR東日本、JR東海、JR西日本、JR九州、JR四国、JR北海道、JR貨物 |
| 大手私鉄 | 京浜急行電鉄、東急電鉄、相模鉄道、小田急電鉄、京王電鉄、西武鉄道、東武鉄道、京成電鉄、 阪急電鉄、阪神電気鉄道、京阪電気鉄道、近畿日本鉄道(近鉄)、南海電鉄、 名古屋鉄道、西日本鉄道 |
| 中小私鉄 | 首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)、東京モノレール、新京成電鉄、北大阪急行電鉄、神戸電鉄、広島電鉄 |
| 地下鉄 | 東京メトロ、東京都交通局、横浜市交通局、名古屋市交通局、京都市交通局、大阪メトロ(Osaka Metro)、神戸市交通局 |
| 第三セクター鉄道 | <第三セクター鉄道全体> |
| 関連会社(車両、信号) | 日本信号、京三製作所、大同信号、日本車輌製造、近畿車輛、総合車両製作所、東洋電機製造 |
| 関連会社(建設) | 東鉄工業、鉄建建設、第一建設工業、日本リーテック、名工建設、日本電設工業、新生テクノス |
| その他関連 | 鉄道情報システム、独立行政法人鉄道・運輸機構(JRTT) |
| 職種別 | 駅員、新幹線の運転士・車掌、電車(在来線)の運転士・車掌 |
| ボーナス | <一覧表>鉄道会社のボーナスの支給額の実績 |
| (業界全体) | <早見表>鉄道会社の平均年収を各社ごとに一覧化 |