JR東日本で発車メロディが100%廃止になる可能性を考察

JR東日本の発車メロディの廃止例

JR東日本において発車メロディが全ての路線にて100%廃止になる可能性は本当にあるのか考察する。

常磐線各駅停車の亀有~取手にて駅ごとの独自メロディの終了があったが、その際には「他の路線でも検討…」という報道がされていた。

しかし、他の路線でもこの動きが広がるとなると、これまでのJR東日本ならではの特徴かつ多くの利用者から好評だった発車メロディが消えることとなるが、その可能性は低いと考える。


発車メロディの100%廃止はない

結論から言うと、JR東日本の首都圏の全路線にて発車メロディが完全に廃止となって使用が終了する可能性はほとんどない。

少なくとも、近郊路線を中心にこれまでの状態が残るものと考える。

<発車メロディ残留確率が高い理由>
主な理由 詳細な内容
停車時間が比較的長い JR線は近郊路線(中距離電車)を中心にそもそも停車時間が長い駅が多い。常磐緩行線とは違って発車メロディを十分鳴らせる余裕がある。
ご当地メロディーの存在 ご当地メロディーは地元自治体との協議で使用しているため、使用中止の際にも協議が必須。実施には事務的な難易度が高い。
乗降促進の必要性 発車メロディは速やかな乗り降りを促す効果がある。ダラダラと乗り降りすると電車の遅延にもつながるため、少なくとも何らかの音は必要
乗降促進メロディ非搭載車も多い 常磐緩行線で廃止にできたのは、乗り入れ全車両に乗降促進メロディを流す設備が搭載しているから。旧式の車両が走る路線にはこれがない。

主な理由は上記の通り。

参照:【路線別】JR東日本の発車メロディーの一覧

JR東日本は他の全国の鉄道事業者と比べても導入規模が大きい。一部路線こそは取りやめになったものの、各路線で事情が異なるのも確か。

停車時間が比較的長い

停車時間が長い駅

JR東日本の路線では近郊路線(中距離電車)を中心に停車時間が30秒以上ある駅が多い。

30秒の停車時間があると、発車メロディをフルで鳴らせる余裕がある。

常磐緩行線の場合はこれには該当せず、ほとんどの駅では停車時間が20~25秒と短い。

発車メロディをフルで鳴らす時間としては短く、「途中切り」されてしまうことで駆け込み乗車を誘発していた点も否定できない。

停車時間が長い駅ほど発車メロディに向いていることで、すべての路線で使用廃止になるとは考えにくい。

ご当地メロディーの存在

ご当地メロディー

2つ目は、特定の駅の所在地にゆかりのある曲を使用している「ご当地メロディー」の存在である。

音楽会社から直接仕入れている汎用メロディーなら、JR東日本が独自で音源を選定して使用している。これなら廃止も独自で決定できる。

一方のご当地メロディーの方はそうではない。関係機関は鉄道運行会社だけではない。

ご当地メロディーの導入はJR東日本と地元自治体の協議の上で成立している事例がほとんど。

音源の制作費用も市町村などの自治体が負担しているケースが大半のため、使用中止となれば反発は必須。

JR東日本が一方的に使用停止にするのは現実的に難しい。

このため、JR東日本の全線にて発車メロディを廃止に持ちこむのはほぼ不可能といえる。

なお、常磐緩行線の場合はそもそもご当地メロディーがなかった。簡単に使用停止になった最大の理由ともいえる。

乗降促進の必要性

速やかに電車を乗降する人々

発車メロディをなくせば駆け込み乗車が減るという意見もあるが、速やかな乗り降りも必要であるのは確か。

発車メロディには「乗降促進」の役割もある。音源を鳴らすことで、電車がすぐに出発することを乗客に示してテキパキと歩かせる効果がある。

これがなくなると、乗客は電車の乗り降りの際にダラダラとゆっくり行動することになると予想される。

こうなると電車が定刻通りに出発できず、数十秒の遅れが各駅で生じて数分の遅延へとつながるかもしれない。

発車メロディの廃止によるデメリットも大きいことで、すべての路線にて廃止というわけにはなかなかいかない。

乗降促進メロディ非搭載車も多い

乗降促進メロディが非搭載のE231系

発車メロディの代わりになる設備となるのが「乗降促進メロディ」。これは車両の車外スピーカーから流れる音源。

JR東日本の新型車両だと「Gota Del Vient」と「Water Crown」が流れる仕組みになっている。

それぞれどちらが流れるかは上下線で違うが、そもそも搭載されていない車両も多い。

具体的にはE233系以降の系列は付いているが、E231系以前の車両は非搭載。

常磐線はE233系かつ乗り入れ先の東京メトロ千代田線と小田急線の車両が新しくて乗降促進メロディが付いていたことが影響している。

旧式の車両で運転されている路線だと、電車の出発を知らせる音源は駅のスピーカーから流れる従来の発車メロディしかない。

旧式の車両にも搭載させることも物理的には可能だが、費用を考えると完全に非現実的。

JR東日本の全線で発車メロディを廃止させるまでにはならないだろう。

発車メロディ廃止によるデメリット

上記で挙げたように、発車メロディの廃止には思わぬデメリットがある。

具体的な内容は次の通り。

<発車メロディを廃止にすると…>
想定される欠点 詳細な内容
ご当地メロディーに関する協議 ご当地メロディーの制作費用は地元自治体が負担しているため、廃止になれば大きな反発も。地元と鉄道会社が対立する構図にも。
乗客の乗り降り速度の低下 発車メロディは速やかな乗り降りを促す効果がある。ダラダラと乗り降りすると電車の遅延にもつながる。
乗り遅れ客の発生 電車のドアが閉まるタイミングがわからず、乗り遅れてしまう乗客が発生する恐れがある。一種の合図で「発車サイン音」の役割が必要。

乗客にとって不都合のみならず、JR東日本にとっても好ましくない内容である。

>>JR東日本に「接近メロディ」がない理由とは!? 事情を考察

一部の人達からは代わりに電車到着時の入線の際に流れる「接近メロディ」に切り替えたらとの声もあるが、発車メロディとは性質が異なるのは確かで、導入には至れない面もある。

もし発車メロディが消滅すると…

発車メロディ消滅

発車メロディでも「ご当地メロディー」は地元自治体が制作費用を支払っている以上、JR東日本が使用中止にすると反発を招くことが予想される。

自治体と鉄道会社が対立することになれば、その後の事業活動で自治体の協力が得られずに難航することも考えられるため、JR東日本にとっては不都合。

乗客の乗り降りの速度も低下するため、駆け込み乗車とはまた別の要因で電車の遅延が生じる可能性が出る。ダラダラと乗り降りする人が増えて、乗降時間の延長による遅延がひどくなるかもしれない。

そして、乗り遅れ客が発生するリスクもある。発車メロディは「発車サイン音」の役割があって電車のドアが間もなく閉まることを示す合図でもある。

これがないと、「いつドアが閉まるのか」がわからなくなり、まだ時間に余裕があると思ってホーム上をゆっくり歩いていたところドアを閉められてしまって乗り遅れることもありえる。

これだとJR東日本には苦情が集まることになり、鉄道会社しても乗客にとっても不都合になる。

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