都営浅草線の朝と夕方の通勤ラッシュの混雑状況を時間帯および区間ごとに調査。ピークは朝が8:30、夕方が18:30である。最混雑区間は南行が押上→本所吾妻橋、北行は泉岳寺→三田。
国土交通省による混雑率のデータでは129%(2017年の調査)と発表されている。朝と夕方の通勤通学ラッシュの時間帯においては、東京都心を走る地下鉄はどこも混む路線が多いが、こちらに限っては意外に空いている。
都営地下鉄浅草線ならではの特徴として、押上駅からは京成線と直通運転を行っている。泉岳寺駅からは京急線とも相互直通運転を行っている。さらに、京成を経由して北総鉄道にも乗り入れている。
目次
時間帯ごとの混雑度
―(三田駅にて調査)― | |||
朝の時間帯 | 混雑レベル | 夕方の時間帯 | 混雑レベル |
6:00-6:30 | 2 | 15:00-16:00 | 2 |
6:30-7:00 | 3 | 16:00-17:00 | 2 |
7:00-7:30 | 4 | 17:00-18:00 | 4 |
7:30-8:00 | 4 | 18:00-18:30 | 5 |
8:00-8:30 | 5 | 18:30-19:00 | 5 |
8:30-9:00 | 5 | 19:00-20:00 | 4 |
9:00-9:30 | 4 | 20:00-21:00 | 3 |
9:30-10:00 | 3 | 21:00-22:00 | 3 |
都営浅草線の時間帯ごとに混雑状況を調査したところ、このような結果になった。
通勤ラッシュのピークは以下の時間帯なのがわかる。
- 朝=7:30~8:30
- 夕方と夜=18:00~19:00
これらの前後の時間帯でも立ち客が多く発生するくらいの混み具合にはなるものの、満員電車というほどではない。
路線名 | 混雑率 | 最混雑区間 |
---|---|---|
銀座線 | 157% | 赤坂見附→溜池山王 |
丸ノ内線 | 161% | 新大塚→茗荷谷 |
日比谷線 | 164% | 三ノ輪→入谷 |
東西線 | 199% | 木場→門前仲町 |
千代田線 | 178% | 町屋→西日暮里 |
有楽町線 | 159% | 東池袋→護国寺 |
半蔵門線 | 170% | 渋谷→表参道 |
南北線 | 153% | 駒込→本駒込 |
副都心線 | 146% | 要町→池袋 |
浅草線 | 129% | 浅草橋→日本橋 |
新宿線 | 158% | 西大島→住吉 |
三田線 | 156% | 西巣鴨→巣鴨 |
大江戸線 | 155% | 中井→東中野 |
東京23区内を走る地下鉄路線については上記で解説。
<参考元:国土交通省の混雑率等の統計情報、混雑の見える化(東京都交通局)>
6時台はまだ空いている
早朝に当たる6時台はまだ満員電車ではない。遠距離通勤をしている人は早くも電車に乗る時間になるが、都営浅草線は都心部を走る区間であるため、乗客の数は少ない。まだまだ余裕が見られる。
座席に座れずに立っている乗客がいるのは確かだが、全員が吊革または手すりにつかまって体を支えることができるレベル。
京成押上線、京急本線からの直通列車でも同じように余裕が見られる。
京成線内または京急線内では座れないことがあっても、都営浅草線内に入ればひたすら降りていく一方になることもあり、着席できる機会が豊富にやってくる。
7時台はもう満員
7時台になるとどこの路線でもいよいよ朝ラッシュがスタートするが、都営浅草線はまだ混雑度が最も高いレベルには達しない時間帯である。それでもピークに段々と近づいていくことを感じるほどにはなる。
南行の電車の場合、京成線内では快速特急などとして運転される電車ではドア付近ではやや窮屈感を感じる。
北行の電車も、京急線内で快特、特急として運転される電車は同じようにドア付近でやや窮屈な感じになる。
少なくとも、泉岳寺駅を出発する押上方面行、押上駅を出発する泉岳寺・西馬込方面行電車ではリュックは背負ったまま乗るのは難しい。
ただし、京成線・京急線からの直通列車でも各駅停車だった便ではそれほど混んではいない。ドア付近でもまだ空間に余裕がある。
8時台は朝ラッシュのピーク
8時頃からは9時までにかけて都営浅草線の1日の混雑のピークに達する。混み具合の目安は以下のようになる。
<8~9時の都営浅草線の混み具合の目安>
ドア付近:手荷物が接する
車内奥:吊革・手すりにつかまれない人が一部存在
スマホ操作の可否:車内全域で可能
混雑差:直通元の京成・京急内で優等列車の便に集中
ちょうど9時出勤の人が通勤手段として都心部へ向かう際に都営浅草線を使うため、この1時間に殺到する。
ドア付近はやや窮屈感がある。スマホの操作が困難なほどではないが、使用するのを戸惑うかもしれない。
混雑差も見られる。京成線内・京急線内で通過駅のある優等列車として運転した電車は浅草線でも引き続き混雑が集中している。
ドア付近は手荷物が完全に触れ合う状態にはなる。車内奥でも吊革・手すりにつかまれない人が発生するレベルにはなる。
区間ごとの混雑のレベル
駅間 | 南行 | 北行 |
押上~浅草 | 5 | 1 |
浅草~蔵前 | 5 | 1 |
蔵前~東日本橋 | 4 | 1 |
東日本橋~日本橋 | 3 | 2 |
日本橋~銀座 | 3 | 3 |
銀座~大門 | 2 | 3 |
大門~三田 | 2 | 4 |
三田~泉岳寺 | 2 | 5 |
泉岳寺~西馬込 | 1 | 3 |
南行の電車の混雑が目立つ。北行は京急線内からの継続利用者がそれほど多くはないこともあり、やや空いている。
京成押上線からの利用者は、押上駅からそのまま都営浅草線を利用する人が多い。
いずれの方向も、まとまった数の乗客が降りていく駅は蔵前・東日本橋・日本橋・東銀座・新橋・大門・三田駅の7駅である。
実際、都営大江戸線の利用者が増えていることもあって、同じ都営地下鉄の浅草線も比例して港区内の利用者が伸びている。
それでも、他の地下鉄と比べれば浅草線の混雑はまだ緩やかなのは確か。
泉岳寺・西馬込方面行(南行)
区間 | 混み具合 |
---|---|
押上~本所吾妻橋 | ★★★★★ |
本所吾妻橋~浅草 | ★★★★★ |
浅草~蔵前 | ★★★★★ |
蔵前~浅草橋 | ★★★★ |
浅草橋~東日本橋 | ★★★★ |
東日本橋~人形町 | ★★★★ |
人形町~日本橋 | ★★★★ |
日本橋~宝町 | ★★★★ |
宝町~東銀座 | ★★★★ |
東銀座~新橋 | ★★★ |
新橋~大門 | ★★ |
大門~三田 | ★★ |
三田~泉岳寺 | ★★ |
泉岳寺~高輪台 | ★★ |
高輪台~五反田 | ★★ |
五反田~戸越 | ★ |
戸越~中延 | ★ |
中延~馬込 | ★ |
馬込~西馬込 | ★ |
各段階ごとの混雑率の目安
★★★★★:120%以上
★★★★:110%
★★★:100%
★★:80%
★:50%
総合的にみると最混雑区間でもドア付近でスマホの操作は可能なレベル。
ただ、優等列車の直通列車に限るとスマホの操作が難しい列車も見られる。ドア付近でギリギリホーム上にいる人が全員乗り切れるレベル。
乗客同士が押し合わないといけないこともまれにある。
リュックを背負って乗るのもドア付近のみならず、すべての列車で車内奥でも無理。
押上方面(北行)
区間 | 混み具合 |
---|---|
西馬込~馬込 | ★ |
馬込~中延 | ★ |
中延~戸越 | ★★ |
戸越~五反田 | ★★★ |
五反田~高輪台 | ★★★ |
高輪台~泉岳寺 | ★★★ |
泉岳寺~三田 | ★★★★★ |
三田~大門 | ★★★★ |
大門~新橋 | ★★★★ |
新橋~東銀座 | ★★★ |
東銀座~宝町 | ★★★ |
宝町~日本橋 | ★★★ |
日本橋~人形町 | ★★ |
人形町~東日本橋 | ★★ |
東日本橋~浅草橋 | ★★ |
浅草橋~蔵前 | ★ |
蔵前~浅草 | ★★ |
浅草~本所吾妻橋 | ★ |
本所吾妻橋~押上 | ★ |
各段階ごとの混雑率の目安
★★★★★:120%以上
★★★★:110%
★★★:100%
★★:80%
★:50%
西馬込→泉岳寺は比較的空いている。
五反田駅はJR山手線との接続駅だが、東急池上線からの乗り換え客が目立つ。
泉岳寺駅からは京急線からの電車が合流する。ここから先は北行の最混雑区間に突入する。
三田駅、大門駅、新橋駅、東銀座駅で大量に乗客が降りていくため、長い区間にわたって混雑が続くわけではない。
都営浅草線ならではの混み具合の特徴
都営浅草線の混雑率が130%前後
単独路線ではないため、都営浅草線とセットで京成線または京急線を使って郊外から都心へ向かう人は少なくない。
郊外へ延びる私鉄と相互直通運転を実施している地下鉄路線は東京都内では多く、いずれも混雑率が高いことでも知られているが、浅草線に限っては押上~本所吾妻橋の区間でも130%前後にとどまる。
朝ラッシュのピークの時間帯であっても他の鉄道路線と比較すると空いていることがわかる。しかも混雑するのは東武スカイツリーラインの終着駅である浅草駅周辺となっている。
東武鉄道を使って浅草駅で降りて都営浅草線に乗り換えるという乗客が多いため、この区間が最混雑区間になっているものと考えられる。
京成押上線との境界駅である押上駅付近については、京成線内からの乗客が押上駅で下車して東京メトロ半蔵門線に乗り換えるという例が少なくない。そのため、地下鉄内までそのまま乗り続けるという人はそれほど多くはない。
京急本線側については、横浜方面からの乗客の大半は品川駅で降りる。都営浅草線まで乗り続ける人は少数派となっている。
直通先の私鉄から都営浅草線まで乗り続けるという人はあまりいないのが特徴といえる。都営地下鉄は使わずに手前で降りる人の割合が高いこともあって、朝のラッシュのピークであっても乗車率が低い。
運賃が高いため、みんな乗りたがらない
都営地下鉄の他の路線にも当てはまる共通点であるが、都営地下鉄の運賃は高い傾向にある。東京メトロと比べても割高な料金に設定されている。京成や京急と相互直通運転を実施しているとはいえ、運賃自体は別料金になっている。
京成側の乗客が押上駅で乗り換えたり上野方面へ向かう理由は、都営浅草線を使うよりも安いからである。都心部では東京メトロやJR東日本の路線を使った方が安くなる例が多い。
京急側についても、品川駅で一旦電車を降りてJR線に乗り換えた方が運賃が安く済むのがほとんどである。しかもJRの方が路線網が豊富なこともあって利便性も高い。停車駅の数も都営地下鉄より少ない。
所要時間の面でも品川駅で降りてJRを使った方が早いという現状もまた、都営浅草線の混雑率があまり高くならない要因となっているのは間違いない。
そんなこともあり、都営浅草線の利用者にとっては通勤ラッシュの混み具合が緩やかというメリットとなっている。運賃が高くてあまり便利ではない路線だからこそ、朝と夕方の時間帯でも比較的空いているものと考えられる。
他の路線の混雑状況
接続駅 | 路線 |
<京成押上線へ直通> | |
押上 | 半蔵門線、東武スカイツリーライン |
浅草 | 銀座線、東武スカイツリーライン |
蔵前 | 都営大江戸線 |
浅草橋 | 中央総武緩行線 |
東日本橋 | 都営新宿線(馬喰横山駅)、総武線快速(馬喰町駅) |
人形町 | 日比谷線 |
日本橋 | 東西線、銀座線 |
東銀座 | 日比谷線 |
新橋 | 山手線、京浜東北線、東海道線(上野東京ライン)、横須賀線 |
大門 | 山手線、京浜東北線、東京モノレール(浜松町駅)
都営大江戸線 |
三田 | 山手線、京浜東北線(田町駅) |
泉岳寺駅 | <京急本線へ直通> |
五反田 | 山手線、東急池上線 |
中延 | 東急大井町線 |
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鉄道事業者 | 路線名 |
---|---|
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JR東日本 | 山手線、京浜東北線、中央総武緩行線 東海道線、横須賀線、総武線快速、京葉線、常磐線快速、宇都宮線、高崎線、埼京線、中央線快速 武蔵野線、南武線、横浜線、内房線、外房線 (直通サービス:湘南新宿ライン、上野東京ライン) |
東京メトロ | 銀座線、丸ノ内線、日比谷線、東西線、千代田線、有楽町線、半蔵門線、南北線、副都心線 |
都営地下鉄 | 浅草線、新宿線、三田線、大江戸線、日暮里舎人ライナー |
京浜急行電鉄 | 京急本線 |
相模鉄道 | 相鉄本線、相鉄・JR直通線 |
東急電鉄 | 東横線、(みなとみらい線)、田園都市線、目黒線、大井町線、池上線 |
小田急電鉄 | 小田原線、江ノ島線 |
京王電鉄 | 京王線、井の頭線、相模原線 |
西武鉄道 | 新宿線、池袋線 |
東武鉄道 | 東上線、スカイツリーライン、アーバンパークライン |
京成電鉄 | 京成本線、押上線 |
横浜市営地下鉄 | ブルーライン、グリーンライン |
その他 | つくばエクスプレス、東葉高速鉄道、北総鉄道、新京成線、埼玉高速鉄道、東京モノレール、ゆりかもめ、湘南モノレール、江ノ島電鉄線 |
混雑の目安については『【レベル別】鉄道の混雑率の目安! 数値ごとの体感』にて解説。