やまびこ/なすので車内販売が廃止された理由! 4つの背景

車内販売が終了した東北新幹線

東北新幹線のやまびこ号となすの号で車内販売が全面的に廃止(終了)された理由とは何か。売上高が低迷していたことが直接的な原因だが、それの背景としては4つの間接的な要因がある。

やまびこ号は東京~盛岡間を走り、なすの号は東京~郡山間を走るものの、いずれでも列車内で軽食や飲料品を売るサービスはまったくない。

同じ東北新幹線でもはやぶさ号では車内販売が継続されている。それとは対照的にやまびこ号となすの号に限って終了となった点に着目したい。


直接的要因=売上高が低迷したから

車内販売の売上高の推移

JR北海道の車内販売の売上高の推移を例に

そもそも新幹線の列車内の車内販売の終了の事例は東北新幹線のやまびこ号・なすの号に限った話ではなく、全国の他の路線でも同様のことが起きている。

はやぶさ号でさえ全廃には至っていないとはいえ、規模は大幅に縮小している。取扱品の中で駅弁や土産類は廃止され、ホットコーヒーさえも消滅した。

残っているのはペットボトルの飲み物、スナックなどのお菓子類にとどまる。

これらがすべて売上高が低迷していることが直接的な原因である。

そして、中でもやまびこ号やなすの号は売上高が低迷が顕著だったことによって、車内販売が100%完全に廃止となった。

赤字を出すくらいなら終了した方が企業(日本レストランエンタプライズ)にとっては合理的な選択肢となる。

4つの間接的な理由

主な理由 詳細な内容
乗車時間が短い やまびこ・なすのはいずれも停車型。乗車時間が2時間未満の乗客が中心。長距離輸送ははやぶさ号は主役。
人件費高騰と人手不足 国内の人手不足とそれに伴う人件費の高騰により、コストが高くついて経営を圧迫しかねない状況になっているため。
利用者数が少ない区間あり 東北新幹線の首都圏エリアは利用者数が多いが、東北エリアは利用者数が少ない。なすの号は宇都宮以北、やまびこ号は福島以北は低乗車率。
売店の充実化 わざわざ割高な車内販売でなく、駅構内のコンビニなどの売店を利用する人が多い。駅ナカ事業が充実していることも背景の1つ。

東北新幹線のやまびこ号となすの号は全便で車内販売が完全に終了した理由として、上記の4つに当たる。

乗車時間・乗車率・労働市場・駅ナカ事業が重要なキーワードである。

乗車時間が短い

車内販売を利用する人は長時間乗車する人が中心である。短い距離しか乗らない人は割高な車内販売では食べ物や飲み物を購入しない割合が大きい。

東北新幹線の種別でもやまびこ・なすのは乗車時間が短い人が主役。長距離利用者が多くて車内販売での購入客が多くなる事例とは対照的な種別。利用者層そのものが最適とは言えない事情がある。

やまびこ号の乗客の乗車区間を見ると、次の区間が目立つ。

  • 東京~宇都宮:約50分
  • 東京~福島:約1時間30分
  • 東京~仙台:約2時間

まとまった利用者が多い区間といえば東京~福島間になる。ところが、所要時間は1時間半ほどと、車内販売が好調になる条件を考えると短い。

これくらいだと車内販売を利用せずに事前にコンビニなどで食べ物や飲み物を購入して新幹線に乗車する人がほとんど。採算が取れるとはいいがたい。

車内販売は乗車中に何か「食べたい」またが「飲みたい」と思った乗客が利用するサービスという性質から、乗車時間が短ければ売上は伸びない。

東京~仙台でも約2時間前後という所要時間である。車内販売の売上高が良い東海道新幹線の東京~新大阪の2時間30分と比べれば短い。

しかも東京~仙台でははやぶさ号とやまびこ号のシェアを考えると、所要時間が短いはやぶさ号に軍配が上がる。したがって、乗車率が高いのは福島駅以南となる。

車内販売の潜在的な乗客が少ないことは確か。

なすの号は運転区間が短いため、さらに車内販売を行っても売れない構造となっている。

東北エリアの利用者数が少ない

乗客数という母数が少ないことは車内販売の売上高が小さくなる原因になる。やまびこ号の一部は盛岡駅まで運転されているものの、仙台~盛岡の乗車率は1日を通して少ない。

自由席・指定席のいずれでも通路側は空席となっている光景が目立つ。

地理的に不利な立場にあることが何となくわかるだろう。乗車率が低いとそれだけ車内販売の採算性は悪化する。

また、やまびこ号の仙台~盛岡の停車駅を見るとすべての駅に停車することがわかる。つまり「各駅停車」というわけだ。まとまった距離を移動する人ははやぶさ号を利用する。

東北エリアでやまびこ号に乗る人といえば、短距離利用者が中心とも判断できる。車内販売を利用するほど長距離を移動しないため、売上高が低迷するのは必然的でもある。

なすの号に関しては、宇都宮以北は乗車率が低い。同じように車内販売が成功する情勢とは真逆である。

人件費高騰と人手不足

車内販売を行うには「パーサー」と呼ばれる販売員が必要になる。その労働力を確保するのも今では難しいといわざるを得ない。都市部でも地方部でもその傾向はいずれも同じ。

正確に言うと、人件費の相場が高騰しているため、採算が合うような水準に収まる賃金を提示すると人手を確保するのこが困難という事情が背景にある。

給料水準を引き上げれば募集をかけることで応募者も増えるものの、そうすると今度は車内販売で人件費としての支出が大きく膨れ上がってしまって採算が取れない状況に陥る。

大都市をいくつも結ぶ東海道新幹線や山陽新幹線では継続できるほどのレベルだとしても、そうではない東北新幹線の停車型の種別となれば困難になることが予想できる。

安い賃金で十分な労働力を確保できない環境になっているため、売上高が小さいやまびこ号となすの号で車内販売を継続する合理的な要素がないことが、車内販売が全廃された理由に当たるといえる。

駅ナカ売店の充実化

駅ナカのコンビニ

そして、近年無視できないのが駅ナカ事業の充実化だろう。駅構内にはコンビニのようなちょっとした飲食物を販売する売店がある。

以前なら売店といえば駅弁やお土産がメインのところが主流だった。一方最近はコンビニ代わりとなるような商品を並べるところがメインに変わった。

商品の価格帯も街中のコンビニとほとんど同じ価格帯である。決して割高ではないため、駅ナカの売店にて乗車前に食べ物や飲み物を購入する人が多い。

長距離移動となれば、新幹線に乗る前にこれらの売店で列車内で飲食する物を買う人が目立つ。

駅ホーム上も最低でも自動販売機は設置されているところがほとんど。

わざわざ値段が高い車内販売で買わないでも、事前に購入できる機会が用意されている。

選べる種類も豊富かつコンビニ並みの値段で食べ物や飲み物が購入できる駅ナカの売店がかつてより充実化したことが、車内販売を利用する人が減った理由に上げられる。

東北新幹線だけでなく、JR東日本全体に当てはまる共通点でもある。

まとめ

<やまびこ・なすので車内販売が終了に至った理由>

乗車時間が短い:乗車区間・時間が短い(長距離利用者が少ない)
東北エリアの利用者数が少ない:首都圏に近いエリアのみの利用が中心
人件費高騰と人手不足:これまでと同一賃金で労働力を確保するのが難しい
駅ナカの充実:駅構内のコンビニで事前に購入するのが主流に

参照:新幹線の路線・種別ごとの車内販売の有無!

同じように車内販売が終了(廃止)となった上越・北陸新幹線のたにがわ号、あさま号も、背景にある理由は基本的にこれらと同じ。

同じ東北新幹線や秋田新幹線、山形新幹線のはやぶさ号・こまち号・つばさ号で車内販売が縮小またはサービス区間短縮になったのも一部同じ。

各路線ごとの車内販売の事情

路線 内容
東海道新幹線 車内販売がやって来る時間
のぞみ/ひかりでも廃止の可能性とはこだま廃止について
山陽新幹線 車内販売がやって来る時間
九州新幹線 全列車廃止とその理由
北海道新幹線 全列車廃止とその理由
東北・秋田・山形新幹線 種別・区間ごとの車内販売の有無
やまびこ/なすので廃止の理由
<山形新幹線>区間ごとの有無と来る時間
<秋田新幹線>区間ごとの車内販売の有無
上越新幹線 種別・区間ごとの車内販売の有無
北陸新幹線 種別・区間ごとの車内販売の有無


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